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意外と知らない目薬の使い方

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この記事の監修者
倉員 敏明

倉員 敏明
医療法人創光会くらかず眼科 理事長

さいたま市大宮・医療法人創光会くらかず眼科院長
愛媛大学医学部卒業。手術特化の眼科として、複数の眼科医によるチーム医療体制で2,200名以上の手術を行う(2025年)。手術器具・手術方法の開発や眼内レンズの研究にも取り組んでいる。

 

物事がうまくいかない、回りくどくて効果が得られないことを例えるのに「二階から目薬」ということわざがあります。二階から階下にいる人に目薬をさしても効率的でないことは、容易に想像がつきます。しかし、もっとも効果的な目薬のさし方を答えるのは難しいのではないでしょうか。

 

点眼法はほとんどの人が自己流で、正しく目薬をさせている人は半数に満たないともいわれています。ドラッグストアを訪れると、たくさん並んでいる目薬。そもそも、どうさすか以前に、何をさすかから分からないかもしれません。さて、あなたは目薬を正しく選び、使えているでしょうか。

 

成分表示は少ないほうがいい?

 

ドラッグストアに並んでいる市販の目薬は、ある程度症状別に分類されていて、配合される成分も決まっています。

 

  • 症状別の主な配合成分
「目が疲れた」

・ネオスチグミンメチル硫酸塩

・アミノ酸類(タウリン、L-アスパラギン酸カリウム)

・ビタミン類(ビタミンB6、ビタミンB12、パンテノール、ビタミンEなど)

「充血している」

・ナファゾリン塩酸塩

・塩酸テトラヒドロゾリン

「乾く」

・コンドロイチン

・涙成分(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)

「かゆい」

・クロルフェニラミンマレイン酸塩

 

あれこれ見比べていると、疲れ目に効く目薬を探していたはずが、「かゆみも抑える成分も入っているほうがお得かな?」と思い始めたり、CMで見た目薬を見つけて「有名な目薬のほうがよさそう!」と成分に関係なく購入を決めたりしてしまいがち。しかし、ひとつの症状に特化した目薬のほうが、より緻密に成分が配合されているため、高い効果が期待できます。迷ったときは、ピンポイントの症状に絞った、成分表示の少ないものを選びましょう。

 

効き目に関係がない成分が入っていることも!?

 

成分表示を見ていたら、症状を改善させる成分のほかに、何に効くのかよく分からない成分が入っていることがあります。代表的な成分が防腐剤。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム、クロロブタノールなどの成分で表示されています。これらは、使用期間中に細菌やカビが繁殖しないように添加されているもので、基本的に人体に害を及ぼすほどの量は入っていません。しかし、目に傷がある人やアレルギー症状がある人など、ごく少数の人に影響を与える可能性があります。

 

なお、防腐剤は市販薬に限らず病院で処方される目薬にも含まれていることが多く、点眼によるアレルギー症状はこの防腐剤が原因となっているケースが大半です。処方薬だからといって防腐剤フリーとは限らない点には注意しましょう。

 

気になる人は、防腐剤フリーのものを選びましょう。その場合は使用期限を守ることはもちろん、冷蔵庫などの涼しい場所、かつ菌が繁殖しにくい清潔な場所で保管することも大切です。

 

また、目をスーッとさせるメントールも、症状を改善する効果はありません。この清涼感はあくまで刺激による感覚的なものであり、「効いている感じ」がするだけで「治っている」わけではないのです。むしろ角膜に傷がある場合は、強い刺激がダメージを悪化させることもあるため、治療目的でメントール成分が推奨されることはまずありません。

 

目の赤み・充血に対して用いられる血管収縮剤成分(塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリンなど)も同様に、症状の原因そのものを取り除くわけではありません。無理やり血管を収縮させて赤みを一時的に消しているだけなので、薬の効果が切れると反動でかえって血管が拡張し、以前より充血しやすくなる悪循環に陥ることがあります。「一瞬で目の赤みが消える」ことをうたう市販薬の多くにはこの血管収縮剤が含まれているため、頼りすぎには注意が必要です。

 

市販薬は成分の配合量が比較的少なくリバウンドのリスクも抑えられていますが、充血を根本的に改善したいなら、血管収縮剤入りではなく炎症の原因を取り除くタイプの目薬を選びましょう。

 

目薬の正しいさし方は?

 

目薬をさすときは、まず手を洗って清潔にすることが大前提。目の表面は、薄い透明な粘膜で覆われていて、手についた菌から感染する可能性があるからです。感染を防ぐには、家族であっても目薬を共用しないことも大切です。手を洗ったら、下まぶたを軽くひいて点眼し、まぶたを閉じて、目から溢れた液をティッシュなどでやさしく拭き取ります。点眼後、パチパチと何度も瞬きするのはNG。鼻や喉に流れる原因になります。早く浸透させたいときは、瞼を閉じたまま目頭の少し鼻寄りの部分を指先で軽く押さえます。

点眼量は1滴で十分。人が涙を溜められる量は決まっているので、2滴以上さしても溢れ出てしまうだけです。溢れた液は肌が荒れてしまう原因になります。再度目に入ってしまうと、皮膚についた汚れや菌が一緒に入ってしまう可能性もあります。

市販薬と処方される薬は違うの?

 

市販薬は、いわば多成分配合のカクテルです。保湿成分・ビタミン・抗ヒスタミン・血管収縮剤など、さまざまな有効成分が少量ずつバランス良く配合されており、「なんとなく目が不快」という不特定多数の症状に幅広く対応できるのが特徴です。手軽に使える一方で、自分の症状には直接関係のない成分まで一緒に点眼することになるというデメリットもあります。まず市販薬を試す場合は、購入前に薬局で薬剤師に相談し、症状に合ったものを選んでもらうと安心です。 

 

一方の処方薬は、単一成分に絞ったスナイパーのような薬です。原因がはっきりしている症状に対し、高濃度の有効成分をピンポイントで届けることを目的としています。抗生剤のように、明らかな疾患があり医師にしか処方できない成分が使われることも多く、市販薬にはない効能や高い効き目が期待できます。ただし、成分の配合量が多い分、血管収縮剤によるリバウンドや副作用のリスクにも配慮が必要なため、医師の観察のもとで使用することが重要になります。

 

何か症状があるなら、まずは薬局で薬剤師に相談し、それでも改善しない場合や本格的な症状がある場合は、早めに眼科医の診断を受け、症状に合った成分の目薬を処方してもらうと良いでしょう。