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サラダをはじめピザやパスタなど、さまざまな料理で使われるルッコラ。ゴマのような香りとピリッとした辛味が特徴で、最近はスーパーでも簡単に手に入るようになってきました。また、栽培期間が短く、年間を通して収穫が可能な上、収益性の高さも見込めるルッコラは、露地栽培や、水耕栽培など環境にあった方法で栽培できるので、スマート農業や少量多品種栽培を行う生産者がチャレンジするにも最適な野菜です。今回は、そんなルッコラの栽培方法や魅力について紹介します。
国内で需要が高まるルッコラ
日本の食卓にもすっかり定着したハーブの一つにルッコラがあります。近年、国内での生産も盛んになってきました。ゴマのような香ばしい風味とピリッときいた辛味があり、その特徴的な食味を生かして、サラダをはじめピザやパスタなどによく使われています。その中でも特にサラダ用の野菜として認知度が高まっています。
なぜサラダ用の野菜として注目されたのか?それは、健康志向やサステナビリティの浸透により、肉料理よりもヘルシーな野菜を使った料理を支持する人が増えているからです。その中でも栄養バランスがよく、SNS映えするフォトジェニックなサラダは専門店も増えるほど人気を博しています。多種多様な野菜が使われている中で、ルッコラは他にはないその特徴的な食味がウケ、サラダには欠かせない食材として重宝されています。
現在、国内の生産量は157トン(令和4年現在)。国内出荷量のトップ3が、埼玉県(51トン)、茨城県(25トン)、福岡県(17トン)となっています。生産量はまだ多くありませんが、逆に市場参入の余地があるともいえます。その一例として、JA新潟直営の農産物直売所では、2024年度の推進品目としてケールやビーツに加えてルッコラも定めています。このように、全国各地で栽培の取り組みが広がっており、将来的に期待ができる野菜だといえます。
風味の良さはもちろん、栄養豊富な健康野菜
ルッコラとはどのような野菜かというと、原産地は地中海沿岸で、アブラナ科の緑黄色野菜です。「ロケットサラダ」とも呼ばれていました。そして、風味の良さはもちろん、注目すべき点はその栄養価の高さです。
ルッコラは、あのクレオパトラも好んで食べていたといわれるほど、健康面と美容面に秀でた栄養素を含んでいます。βカロテンをはじめ、ビタミンを豊富に含み、特にビタミンCが非常に多く含まれています。100g当たり66mgとほうれん草の約2.3倍を含んでおり、鉄分は1.6mgと栄養豊富な野菜で知られるモロヘイヤに匹敵します。また、カルシウムは170mgとピーマンの約17倍もあり、健康面では整腸作用や貧血対策など、美容面では抗酸化作用などが期待できます。つまり、ルッコラはアンチエイジング効果が期待できる栄養素を豊富に含み、それを生食できるため、それらの栄養素を余すことなく摂取できる野菜です。こういった点からも、今後のルッコラ市場の成長に期待が寄せられています。
ルッコラを栽培するメリットとは?
現在、国内で出荷用に栽培されるルッコラはほぼ水耕栽培になりますが、もちろん露地栽培も可能です。水耕栽培と露地栽培では味も大きく変わり、水耕栽培のものは茎も細く、味もマイルドですが、自然の土壌と気候を利用した露地栽培になると風味も濃くなり辛さも強くなるなど、ワイルドな食味になります。新規でルッコラ栽培に乗り出す場合、水耕栽培となると設備投資などの初期費用もかかり、継続的なランニングコストも考慮する必要があります。その一方で、ハーブ栽培農家の多くが少量多品目栽培を行っていることを考慮すると、まずは露地栽培からスタートし、水耕栽培には出せない食味で差別化するのも一つの方法だともいえます。
また、ルッコラは発芽率が90%以上と高い上、播種から30〜40日ほどで収穫ができるなど生育が早いのも特徴です。家庭菜園でも人気な点はこの育てやすさにあります。暑さや寒さにも比較的強く、播種から収穫までの期間も短いので病気にもかかりづらく、播種の時期をずらせばほぼ1年中収穫できるところも大きなメリットです。しかも軽量のため、女性や高齢者でも扱いやすく、市場価格は100g当たり200円前後と比較的高い単価で販売できるなど、新しい農作物の栽培にチャレンジするのに有利な条件が揃っているのも魅力です。
新しい農作物を導入するならスマート農業が即戦力に
ルッコラをはじめ、国内におけるハーブの需要は今後も堅調に推移すると考えられます。そのため、新しい農作物として導入するのも一つの方法です。特にルッコラはまだ国内では生産の歴史が浅いため、さまざまな栽培方法を試みています。今後、ロボットやAI、IoTなどの技術を活用して、安定した食料供給を可能にする手段として期待されているのがスマート農業です。最新のIoT技術を活用したスマート農業を取り入れることで効率的な栽培が可能となり、生産性の向上やコスト削減が実現できます。
トプコンでは、いち早くスマート農業に着目してきました。長年培ってきた光学技術、GNSS技術、各種センサーやネットワーク技術を駆使することで、農機の自動操舵システムをはじめ、レーザー式生育センサーを開発。世界中で農業の自動化/IT化をサポートしてきました。
様々な農作物にスマート農業を取り入れることで、農業の持続可能性が高まり、環境への負荷を減らすことができます。日本の農業の発展のため、トプコンはスマート農業という形で日本の生産者と持続可能な農業を今後もサポートしていきます。
〈参考資料〉
おいしい山形推進機構東京支部(山形県東京事務所流通対策課)「おいしい山形東京通信」
JAグループ新潟「ケール、ビーツ、ルッコラ、スイスチャード珍野菜で品ぞろえ充実 助成し推進 食べ方提案JA新潟かがやき「いっぺこ~と」」
日本食糧新聞「海外通信 外食ビジネスの新発想(67)飽きないきれいなグルメサラダブーム」