2022-11-01

畑の土に不可欠な成分は、人間の骨を丈夫にするアレ!

目次

農家にとって土とは? と質問すると、「土は命」「土は宝もの」という答えが返ってくることがよくあります。農作物を作った経験がない人は、「そこまで言う!?」と怪訝な表情を浮かべるかもしれません。また、「土に種を蒔いて、水を与え、光を当てれば生育するのでは?」との認識もあるかもしれません。

 

農作物は適当に選んだ、その辺りにある土では、ほとんどの場合育ちは悪く、見た目も中身も納得いく作物は出来上がりません。農作物にとって土は、まさに土台であり、命なのです。何かの農作物を作りたいのなら、その作物に適した土から作る必要があります。農家にとって土は、想像をはるかに超えて大切な存在なのです。

 

まずは土の栄養バランスを整える

 

農作物を育てるために最初にやるべきことは、種を蒔くことでも、肥料を揃えることでも、堆肥づくりでもなく、答えは、土づくり。土の環境を整えることです。私たちが日ごろ、体調を整えるために栄養を摂取するのと同じように、土にも栄養を与えることが必要なのです。

 

ここでは、畑での野菜栽培について取り上げますが、畑の土づくりにおいて、最も重要なことは、ミネラルを増やすことです。中でも努めて増やしたいミネラルは、私たちの人体に一番多く存在し、骨を丈夫にしてくれる、カルシウムのことです。

 

畑でのカルシウムの役目は、人間の場合とは異なり、生長時のサポートとなります。細胞分裂を促し、細胞壁を丈夫にしてくれることです。植物は、あらゆる先端に細胞分裂が盛んにおこなわれる部分の「生長点」を持っており、この生長点にカルシウムが行き届かないと、望みどおりに生長してくれません。新芽、葉芽、蕾、そして、根の先端部、特に根は植物にとって、非常に大事な部位です。もし根元でカルシウムが欠乏すると、茎や葉へのダメージは甚大です。根から茎や葉へ栄養や水を送っているため、行き届かなければ、植物の生長は止まってしまいます。

 

雨が多い日本だからこその成分

 

では、カルシウムは、どれほどの量が必要なのでしょうか。「土のいのちは、人のいのち」と語る大分県の赤峰農場の赤峰勝人さんによる著書『循環農法』(なずなワールド刊)に、理想とする土の分析基準値が紹介されています。九州電力農業電化試験場に勤務する米沢晃さんが、30年間で3千もの土を分析した結果が紹介されています。農作物が健康に育つためには、面積10a(10m×100m)、表土10cmで、必要なカルシウムは300~350kg。続くマグネシウムは、40kg、カリウムとリン酸は30~40kgと記されているので、カルシウムの量が膨大であることがわかります。但し、この数値は、pH6.5~7.0の場合です。

 

カルシウムは、水溶液にするとアルカリ性を示すことから、土の中のpH(ペーハー)を調べることでカルシウムの多寡を知ることができます。pHとは、水溶液の性質で、酸性かアルカリ性かの程度を表す単位ですが、7.0が中性で、7.0以下は酸性、7.0以上はアルカリ性。多くの作物はpH6.0~6.5の弱酸性での生育が良いとされています。といっても、野菜によって求める土のpHは様々で、それぞれの野菜が求める数値になっていることが何よりも大切なです。理想のpHに近づければ、「いい土」となり、生育の良い「いい野菜」が出来上がります。

 

日本の土は、土を酸性に傾かせる雨が多いことから、通常でも酸性寄り。そんな畑の土壌を中和する役目としてもカルシウムは不可欠です。さらには、雨によって流れやすいというデメリットも存在しますから、大量に必要なのです。

草を見て、草を活かす

 

畑の土のカルシウムの量を知るには、一般的には測定器が使われますが、もっと簡単方法は、畑を目視することでも知ることが出来ます。というのも、草の種類を見ればわかるものなのです。前出の赤峰勝人著『循環農法』によると、カルシウムが豊富で何を植えても良く育つ畑には、ナズナ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ハコベ、カラスノエンドウ等が生えていると言われています。しかも、1m以上に勢いよく生長しているのが特徴とのこと。この状態であれば、毎回、作物を収穫した量だけの堆肥を入れ、畑に生えている草をすき込んでいくことを繰り返せば、土中のカルシウム量は保たれるそうです。

 

カルシウムが不足している場合は、スギナ、オオバコ、ヨモギ、アザミ、ギシギシ、メヒシバ、ササ等が生えるとのこと。カルシウムが不足している土だから、カルシウムを作り出す草が生長しているのです。これらの草が生えている場合は、刈り倒して畑へ置いておく。また、柔らかい草は実を結んでからすき込んでいく。この作業を幾度か繰り返せば、カルシウムが増え、ナズナ等が生えて来ます。

持続可能な畑をめざすためには

 

これまでの日本では、酸性に傾いた土壌を中和するために、また、pH7.0を必要とするホウレン草等の野菜を栽培する際に、主成分がカルシウムの石灰の使用を当然のように勧められてきました。けれども、使いすぎるとアルカリ過剰となり生育障害が出ますし、最初は効果的でも、のちのち土を固くすることから、根の生育を悪くし、結果、土の中の微生物が住みにくい不健康な土にしてしまいます。

 

このような悪影響が多くの産地で出ていることから、最近では土壌学に精通する人たちによって注意喚起が行われるようになりました。元気な野菜を安定して収穫ができる持続可能な畑を目指すのであれば、有機のカルシウムを活用して健康な土を作ることが望ましいとする時代になってきたのです。

 

そして、農業を長く続けるためにも、機械に任せられることは任せていくことが、これからの賢い農業といえます。カルシウムが豊富な土づくりに際しての、すき込み作業をはじめとする耕起、その後の畝立て、播種等の作業には、トプコンの製品「GNSSガイダンスシステム」「自動操舵システム」がおすすめです。既存の農機を簡単に自動化ができる上に、技術がなくても効率よく作業が行えるので、疲れを大幅に軽減してれくます。初心者でも簡単に取り組めることは、言うまでもありません。借りられる力は、未来の農業のために活用していきたいものです。

 

トプコンは、2006年よりスマート農業に取り組んでいます。

https://www.topcon.co.jp/positioning/products/product/agri/TOPCON_Ag-system_merit_J.html

 

<製品紹介>

経路誘導ナビシステム「GNSSガイダンスシステム」は、誰でも簡単にラインに合わせて作業することができます。また、作業を終えたところをモニターで確認できることから、重複作業を防止できます。

「自動操舵システム」は、直進から枕地旋回までハンドル操作が不要。ボタン一つで作業位置を合わせられるため、ハンドル操作への集中を大幅に軽減。多岐にわたる作業が熟練者と同じ高精度で行えます。