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二重まぶたは遺伝するって本当?

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この記事の監修者
倉員 敏明

倉員 敏明
医療法人創光会くらかず眼科 理事長

さいたま市大宮・医療法人創光会くらかず眼科院長
愛媛大学医学部卒業。手術特化の眼科として、複数の眼科医によるチーム医療体制で2,200名以上の手術を行う(2025年)。手術器具・手術方法の開発や眼内レンズの研究にも取り組んでいる。

「二重まぶたは遺伝する」とよく言われますが、本当に親から子へ受け継がれるのでしょうか?  また、一重まぶたの人でも、ある日突然二重になることがあるのはなぜでしょうか?  そもそも二重まぶたとはどのような構造をしており、なぜ二重になると目が大きく見えるのでしょうか?  本記事では、二重まぶたに関する遺伝的要因や、後天的に二重まぶたになるメカニズムについて詳しく解説していきます。

二重まぶたが遺伝する仕組み

19世紀にメンデルが発表した法則によれば、遺伝子には表に現れやすい「顕性遺伝」と、現れにくい「潜性遺伝」があります。以前は「優性」「劣性」と呼ばれていましたが、遺伝子に優劣があるとの誤解を避けるため、現在では「顕性」「潜性」という言葉が使われるようになりました。まぶたの形に関しては、二重まぶたが顕性遺伝、一重まぶたが潜性遺伝と考えられています。つまり、片親が二重でもう一方が一重の場合、子どもは二重まぶたになる可能性が高くなります。また、両親が共に二重まぶたなら、子どもが二重になる可能性はさらに高まります。逆に、両親がどちらも一重まぶたの場合、基本的に子どもも一重まぶたとなります。

東京女子医科大学等の研究グループによる最近の遺伝子研究でも、遺伝子型「SNP:rs242975」で、「T」を多く持つほど二重まぶたになる確率が高くなることが明らかになっています。この遺伝子には「可能性が高いタイプ(TT)」、「やや低いタイプ(CT)」、「低いタイプ(CC)」の3つがあり、日本人の約半数は、二重まぶたの可能性が高いタイプ(TT)を持っています。さらに、都道府県別の調査では、二重まぶたになりやすい遺伝子タイプ(TT)の割合が最も高かったのは奈良県、次いで鳥取県、三重県と続いています。特に近畿地方の都道府県が上位を占める傾向がみられ、地域によって遺伝的特徴に違いがあることも示されました​。

古代人も二重まぶただった?

では、遠い昔の日本人も二重まぶただったのでしょうか? 鳥取県鳥取市の「青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡」では、弥生時代前期末(約2,400年前)から古墳時代前期(約1,700年前)にかけての人骨が多数発掘され、DNA解析が進められています。その結果をもとに古代人の顔を復元した「復顔像」も公開されています。2024年3月に公開された復顔像(第2弾)は10代前半の男性のもので、DNA情報の分析により、この男性が二重まぶただったことが明らかになりました。さらに2025年3月20日には女性の復顔像(第3弾)も公開されました。

これまで日本人の起源については、縄文人(日本列島に元々住んでいた人々)と大陸から渡来した弥生人との混血により形成されたとする説が主流でした。しかし、理化学研究所による最新の全ゲノム解析の研究では、この大陸からの渡来人は「東北系祖先(北東アジア由来)」と「関西系祖先(東アジア由来)」という2つの異なるグループに分類できることが分かりました。一般に、縄文人は「彫りが深く二重まぶたの人が多い」、一方の渡来人は「彫りが浅く一重まぶたが多い」という特徴を持つと考えられています。青谷上寺地遺跡はまさに弥生時代の遺跡ですが、ここで二重まぶたの復顔像が見つかったということは、この時代にはすでに縄文人と弥生人の混血がある程度進んでいたことを示しているのかもしれません​。

なぜ日本人は一重まぶたが多いのか?

弥生時代からすでに縄文人と弥生人の混血が進んでいたこと、そして二重まぶたが顕性遺伝であることを考えると、現代の日本人には二重まぶたの人がもっと多くても不思議ではありません。しかし実際には、日本人には一重まぶたの人が多く、二重まぶたをつくるためのアイプチなどのメイク用品や、二重整形などの美容医療は依然として高い人気を誇っています。その背景には、日本人が欧州系やアフリカ系の人々と比べて、まぶたの皮膚が厚く、皮下脂肪、眼窩内脂肪やROOF(眼輪筋下脂肪組織)と呼ばれるまぶた周辺の脂肪組織が発達していることが考えられます。

人が目を開く際には、「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」という筋肉がまぶたを上に引き上げます。この時、まぶたの皮膚が折り込まれてヒダができるのが「二重まぶた」、ヒダができないのが「一重まぶた」です。しかし、まぶたの皮膚や皮下脂肪が厚い場合、本来は二重まぶたになる構造を持っていても、見た目が一重まぶたや奥二重になることがあります。

また、年齢を重ねることによる皮膚のたるみや、水分バランスの変化によってまぶたの皮下脂肪が減少すると、一重まぶたから二重まぶたになるケースもあります。つまり、二重まぶたになるかどうかは遺伝だけで決まるわけではなく、後天的な要素も大きく関係しているのです。

二重まぶたは魅力的?

一般的に「二重まぶたは魅力的」「目が大きく見える」とよく言われますが、これは、二重まぶたのライン(ヒダ)があることで、実際より目が大きく見える「デルブーフ錯視」という錯覚も関係しています。逆に言えば、一重まぶたの人でもアイメイクを工夫して錯視を利用すれば、目を魅力的に大きく見せることができるのです。

最近人気の涙袋メイクも目を大きく見せる錯視を利用しています。ただし研究によると、二重まぶたの人は涙袋を強調しすぎると不自然に見え、かえって魅力が下がることがあるとされています。一方、一重まぶたの人では涙袋メイクによる魅力の低下は確認されておらず、自然に目元の魅力を高められる可能性があります。また、黒目を少し大きく見せるカラーコンタクトレンズも、一重まぶたの人が自然に魅力を高める手段として効果的です。

カラーコンタクトレンズを選ぶ際は、着色直径が大きすぎない自然なサイズを選ぶと、目元になじみます。白目と黒目の理想的な比率は「白目1:黒目2:白目1」とされており、少し控えめなサイズ(13.0mm〜13.4mm程度)を選ぶと、白目をしっかり残しつつ、自然に瞳をひと回り大きく見せることができます。

また、フチはくっきりとしたデザインよりも、ぼかしフチや細めのフチのほうが自然な印象を与えやすく、一重まぶたにもなじみやすい傾向があります。色味は、ブラウン系やオリーブブラウンなど裸眼に近いナチュラルカラーを選ぶことで、目元をさりげなく印象的に見せることができます。

つまり、二重まぶただけが魅力的なのではありません。自分の目元の特徴を知り、メイクやカラーコンタクトレンズを上手に取り入れることで、一重まぶたでも十分魅力的な目元を作ることができます。自分らしさを活かし、自分ならではの魅力を高めることこそが、最も大切なのではないでしょうか。

 

(参考文献)

理化学研究所「全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴」

青谷かみじち史跡公園

BSS山陰放送「「弥生人」今度こそ「女性」 二重まぶたで肌の色はやや明るめ…青谷上寺地遺跡で出土した人骨を元に、顔を復元へ」

認知心第13回大会「二重まぶたで目が大きく見える錯視効果」

日本感性工学会論文誌 Vol.20 No.2「上瞼が二重の顔は魅力的だが下瞼の涙袋メイクは逆効果かもしれない」

高須クリニック「日本人の一重まぶた、二重まぶたの割合はどれくらいなのか?二重まぶたになる仕組みメカニズムについて」