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安田尚壱
めめ眼科 院長
埼玉医科大学卒業後、埼玉医科大学総合医療センターで初期研修、順天堂大学医学部附属浦安病院眼科に入局。順天堂大学医学部附属浦安病院や国立国際医療研究センター国府台病院などで経験を積み、2024年5月、千葉県船橋市に「めめ眼科船橋」を開院、院長となる。
日本における患者数は推定約2,200万人。いまや女性の2人に1人症状があるともいわれるドライアイ。これは生活習慣や他の病気などによって、涙の量や質が変化してしまうことで起こる目の疾患です。ドライアイを引き起こす大きな要因といえるのが、エアコンで乾燥した室内でのオフィスワーク、そして長時間ディスプレイを凝視する現代の生活習慣にあります。
また今の女性にとってファッションツールにまで進化したコンタクトレンズの長時間装用もドライアイを引き起こす原因のひとつに挙げられています。
このように現代のライフスタイルは目が乾く要因にあふれています。しかし「目がショボショボするけど、どうってことない」と軽く考えたり、そもそも気づいていなかったりする方も多いドライアイ事情。あなたの目は、自分が思っている以上に乾いて危険な状態になっているかもしれません。
いくつ知ってる?あなたの涙の役割
ドライアイは、涙の病気ともいわれます。目の表面は常に涙のうるおい成分でカバーされ、乾燥から守られています。涙はほこりや菌を洗い流し、感染からも目を守ってくれます。また角膜に酸素や栄養を補給する役目も果たし、角膜の表面にある凹凸をおおってなめらかなレンズのようにすることで、はっきりときれいな画像を映すことにも一役買っています。
そんな目の健康に欠かせない涙は、さまざまな栄養を含む「水」、その水が逃げないようフタをする「脂質」、ネバネバ物質で水を目に貼り付けるタンパク質「ムチン」という3つの成分からなります。目の表面の細胞を水とムチンの層がカバーし、さらにその外側を脂質の層がおおって水分の蒸発を抑えているのです。
その症状、もしかするとドライアイかも
「ドライアイ」といえば、涙の量が不足することだと考えがちですが、涙の成分が変化することも原因となっています。水、脂質、ムチンという涙の成分のバランスが崩れ、涙が目にうまく行き渡らない場合にも起こるのです。2016年に国内のドライアイ研究会で発表された定義でも「ドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」状態であるとされています。
そのため、涙の量はちゃんと出ているのに「これもドライアイ!?」というケースも。このように涙の質が安定しないためにすぐに乾いてしまうタイプのドライアイは、特に仕事で長時間パソコン作業をする方、細かい数字や文字を扱うなど精神を集中することが多い職業の方が要注意です。また仕事以外でもネットやスマートフォンのゲームなどで長時間画面を凝視している方、コンタクトレンズを長時間使用している方の間でも増えています。
ドライアイになると、目がゴロゴロする、充血する、かすんで見えるなど、さまざまな自覚症状が現れます。近年はドライアイによって視力が低下するケースも報告されています。角膜が乾燥して目の表面が傷ついたり、ときには頭痛やうつ症状にまでつながったりすることもあるのです。目は身体の窓。「ただのドライアイ」と軽く考えず、早めに眼科医に相談しケアすることが大切です。

とにかく涙が乾きやすい現代生活、日常生活での解消法は?
ドライアイの原因は、普段の暮らしにあふれています。たとえば空調が効いた室内では目も乾燥しがち。お肌からうるおいが奪われるように、目もまたうるおいを失うのです。またパソコンの作業中やスマートフォンを見ている間はまばたきの回数が減ってしまいます。通常まばたきの回数は、1分間に20〜30回程度といわれていますが、画面を凝視しているとその1/4程度に減少するとも。
パソコンで長時間作業する方は、意識してまばたきをし、30分に1回は目に休憩を。まぶたを閉じて目を休ませるほか、休憩するのを忘れちゃう! という方はタイマーをセットし、意識的に体を動かしたり歩き回ったりすることもおすすめ。そうすることでまばたきの回数が自然と増加します。コンタクトレンズも目が乾く原因になるので、できるだけ装用時間を短くする工夫を。
リラックスを促す副交感神経がつかさどる涙腺は、日々の過剰なストレスで涙を出しにくくなり、それがドライアイを引き起こすとも考えられています。このほか加齢によっても涙腺の働きは弱くなり、涙の量や質の安定性が低下することも指摘されています。
仕事や日常生活で目の疲れやすい方は1〜2時間おきに目の休息時間を設け、リラックスを心がけましょう。また、ドライアイ解消のためにさまざまな目薬が市販されていますが、過度にスーッとするタイプを多用していると強い刺激がドライアイの症状を悪化させることも。目薬の使いすぎは、かえって大切な涙成分を洗い流してしまうこともあるので気をつけましょう。

最近ではドライアイ症状の約80%が、涙の蒸発を防ぐ脂質の不足で引き起こされることがわかってきました。脂質はまぶたにあるマイボーム腺から分泌されます。このマイボーム腺の機能が下がると脂質が詰まり、まぶたにプツッと小さなニキビのようなかたまりができることも。これは40℃程度に熱した蒸しタオルを10分くらい目に乗せることを習慣化することで解消可能です。
またマスク生活でつい力の入るアイメイクも、マイボーム腺を詰まらせる原因に。まつ毛の根本から内側にはアイラインを引かない、メイクはリムーバーでしっかり落とす、などを心がけましょう。
ドライアイかな、と思ったらまず検査を
涙の分泌は夕方以降になると生理的に減るため、夕方や夜に自覚症状が強くなるならドライアイである可能性が高いかもしれません。ドライアイは検査ですぐにわかります。眼科に行くと涙の量や蒸発のスピード、目の表面に傷がないかなどを詳しく調べてもらえます。目の不調は「ドライアイが原因かな?」と思ったら、早めの検診&ケアが重要です。原因がわかれば、正しい解消法も自ずと導き出されるもの。
最近はドライアイ外来も増えています。なんとなく目に違和感があったり、疲れやすかったり見えにくかったりして、「これってドライアイ?」と思ったら、一度検査してみてはいかがでしょうか。




