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普及が期待されるフェアトレードの現状

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中学や高校の教科書にも取り上げられるようになった、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動「エシカル消費」。そのひとつに『フェアトレード』があります。日本での浸透率は欧米諸国と比べると比較的低く、これからの成長が期待されます。そこで今回は、日本のフェアトレードの現状について紹介します。

「チャリティー」から「フェア」な取引へ

日本で流通しているフェアトレード商品には、コーヒーをはじめ、カカオやバナナ、紅茶、ハチミツ、ワイン、ナッツ、スパイス、オイル。さらには切り花や化粧品、スポーツボール、コットンなど、様々な商品があります。

フェアトレード(Fair Trade)とは、フェア(=公平、公正)なトレード(=貿易、取引)。つまり、開発途上国における貧困からの脱却、生活環境の向上、児童労働の解消、経済的自立を目的に、輸出側と輸入側が対等な関係を築き、適正な価格の取引や労働環境の保護をおこなう貿易の仕組みのことです。

立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活を、より良いものにすることは、地域の成長にとって重要なだけではなく、私たち一人ひとりの生活にも関係してきます。例えば、安心安全な食の普及や有機農業の促進、生物多様性の保全、気候変動への対応といった取り組みは、自然環境へもポジティブな影響を及ぼし、ひいては持続可能な社会の実現にも寄与するからです。

フェアトレードの起源は諸説ありますが、その一つに第二次世界大戦直後、1947年のアメリカという説があります。この説ではNGOボランティアの女性陣が、カリブ海に浮かぶアメリカ自治領の島「プエルトリコ」の女性たちが作る刺繍製品をバザーで販売したのがはじまりとされています。当時は、開発途上国の人々の生活を楽にすることを目的としていたことから、「チャリティートレード(=慈善貿易)」と呼ばれていました。

1950年代には、欧州でも同様の活動が見られるようになり、1960年代に入ると、中長期的な目標が掲げられ、開発途上国の人々が貧困から抜け出し、自立できるまで支援する仕組みが整えられてきました。この頃は、「オルタナティブトレード(=もう一つの貿易)」と呼ばれ、活動の裾野を広げたことでブームが起きました。しかし当時は品質が十分でなかったため、一般消費者に受けいれられるのは難しい状況でした。そのため品質向上への取り組みが進められ、今日の「フェアトレード」へとつながっていったといわれています。

まだまだ成長余地のある日本フェアトレード市場

日本におけるフェアトレードは、1974年のNGO活動から始まりました。1990年代後半から2000年代にかけて専門店のオープンや大手企業・スーパーの参入が進んだものの、フェアトレード商品を積極的に購入する層は依然として限定的です。2024年の国内市場規模は、2014年の94億円から約2.3倍の215億円へと成長したものの、同年の1人当たり年間購入額は174円にとどまっています。

それでは世界に目を向けてみましょう。フェアトレードが盛んなスイスでは、2019年の時点で市場規模が約9.3億スイスフラン(約1,040億円)に達していました。これは当時の計算で、1人当たり年間消費額は100スイスフランを超えおり、世界でもとても高い水準といえます。

集計した年や背景は異なるため単純比較はできませんが、こうした状況を踏まえると、日本のフェアトレード市場には、今後大きな成長の余地があることがわかります。

そこで、購入の後押しとして注目されているのが、町や大学、企業といった大きな単位での取り組みです。世界には、大学ぐるみで取り組む『フェアトレード大学』や、イギリスで2000年以降に始まった「街ぐるみ」での取り組み『フェアトレードタウン』など、購入推進のために設けられた認定制度があります。ちなみに、世界にはフェアトレードタウンが約2,000(2020年時点)あり、そこにはパリ、ロンドン、ベルリン、マドリード、ソウルといった、各国の首都なども含まれていています。

これらの制度は日本でも導入されおり、さらなる普及が期待されます。

 

一人ひとりの買い物が未来を安心なものにする

日本全体での取り組みは、フェアトレードに積極的な国々と比べると、まだ取り組みの余地があり、欧州諸国と足並みを揃えるには、消費者の持続可能な社会に対する意識の向上も必要だと考えられます。

欧米諸国では、企業が投資家や消費者からの要請を受け、フェアトレードの導入を推し進めているケースもあります。また消費者の意識を高め、フェアトレード商品を購入することは「当たり前」と考える消費マインドを醸成することも重要です。

フェアトレードは、エシカル消費のひとつであり、SDGsの多くの目標達成に貢献できる効果的な手段です。自分の買い物における選択が、回り回って自らの暮らしに影響を及ぼすことも。この時代の生活に必要なのは、「今」にも目を向け、「未来」にも目を向けること。「今」の自分の選択の積み重ねが、「未来」の自分や家族に安心を与えることを心に留めておきたいものです。

 

「フェアトレード」普及に向けたトプコンの取り組み

トプコンは、毎年5月のフェアトレード月間に、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが主催する「ミリオンアクションキャンペーン」に協賛しています。このキャンペーンは、フェアトレード製品の認知度向上と購買促進を通じて、持続可能な社会の実現を目指す取り組みです。

このように、トプコングループでは社内外でフェアトレードの理解と普及を広げるため、さまざまな施策を展開しています。今年度は、社内のデジタルサイネージによる活動紹介や、従業員向けショップでのフェアトレードチョコレートの職域販売を実施しました。さらに、来客用の茶菓子としてフェアトレード製品を提供するなど、日常のさまざまな接点を通じてフェアトレードへの関心を高める取り組みを推進しています。