建設業界の魅力を高めるためICTをフル活用
1966年の創業以来、土木工事を専業とし、主に国土交通省や地方自治体の公共土木工事全般の請負施工を手がける山形県山形市の泰昌建設株式会社様。山形県下で最初に3Dレーザースキャナーを導入された同社へ、土木施工での3Dレーザースキャナー『GLS-2000』活用について伺った。
最新技術を何処よりも早く。
同社は『GLS-2000』をはじめUAVやICT建機など、ICT施工に向けた設備を多数導入されており、i-Construction仕様の施工も多くの実績がある。「会社の方針として、新技術は逸早く導入することを心掛けています」とお話いただくのは、同社取締役の渋谷和(しぶやかず)様。「外注するという選択肢もありますが、採算やスピードを考えた場合、必ずしも効率化が図れるとは言えませんし、自社にノウハウも残りません。そこで、測量から3次元データ作成、ICT建機による施工まで、全て内製化する環境を整えました。『GLS-2000』も、その一環で導入したのです」
『GLS-2000』を”普段使い”で効率化。
同社では、工務部課長の阿部俊広(あべとしひろ)様と、入社2年目でi-Construction担当の名佐原有香(なさはらゆか)様が3D計測業務を担当されている。『GLS-2000』導入後の変化について阿部課長は、「3D計測を行うことで、特に計画段階、現場踏査から起工測量において、スピード感が増したことは大いに実感しています」とのこと。同社では施工を開始する前に必ず事前検討会を開き、関係者全員のイメージ統一を図っている。従来の2次元図面では理解度に差が出てしまっていたが、3D図面を用いることで全員の理解度が上がり、初期段階から細部の詰めた打ち合わせができるようになったそうだ。現在は、i-Construction対象外の現場であっても、事前に現場の3D化を行っているという。
名佐原様からは『GLS-2000』について「ワークフローも分かりやすく、予備知識が無くても簡単に操作できました」と評価は高い。名佐原様は、建設業とは無関係で入社したが3カ月目から計測業務を担当、既に10現場以上の経験を積まれ、使い勝手の良さも相まって手際よく計測が行えているようだ。そしてお二方とも「進捗管理はもちろんのこと、高圧線のクリアランス調査などでも普通に『GLS-2000』で計測しています。当社ではトータルステーションと同じ、当たり前の測量機ですね。効率的になると感じれば、どんな現場でも使っています」と口を揃える。
これからを見据えてICT化を推進。
「人材の確保や育成、働き方改革を進めるうえで、”建設業の魅力を高めたい”という思いを強くしています。ICTへの対応は、初心者への敷居を低くし、最先端でスマートな職場というイメージに変わってくるかもしれません。また、3Dデータが重要になってくると、建設業経験者だけでなくIT関連からの門戸も開け、異業種からの流入も期待できるのではないでしょうか」とお話される渋谷取締役。名佐原様も「皆に追いつくためには、もっと先輩方から勉強しなければなりませんが、他社で外注している部分まで内製で行えるので、とても遣り甲斐を感じています」と快活だ。
ベテランの知識・経験と若手の吸収力・向上心が、良好に相互作用している印象の泰昌建設様。今回の取材で、これから建設会社の進むべき道が見えたような気がした。

右から、取締役の渋谷和様、工務部課長の阿部俊広様、i-Construction担当の名佐原有香様。
ユーザ名:泰昌建設株式会社
URL:http://www.taisho-kensetu.co.jp/
使用機種:
3Dレーザースキャナー GLS-2000
3D点群処理ソフトウェア MAGNET Collage
取材協力:株式会社山形測器社
URL:http://yamagata-sokkisha.jp/