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倉員 敏明
医療法人創光会くらかず眼科 理事長
さいたま市大宮・医療法人創光会くらかず眼科院長
愛媛大学医学部卒業。手術特化の眼科として、複数の眼科医によるチーム医療体制で2,200名以上の手術を行う(2025年)。手術器具・手術方法の開発や眼内レンズの研究にも取り組んでいる。
みなさんは、サングラスをかける習慣がありますか? マイボイスコム株式会社(伊藤忠グループのリサーチ会社)が2021年に約1万人を対象に行った調査によると、サングラスの利用者は5割弱。サングラスを持っていないと回答した人は4割以上にのぼりました。「サングラス=有名人」という感覚はまだまだ根強いようで、サングラスをかけることに抵抗がある人、また、サングラスが似合わないと思っている人が多いようです。
日本では、目を隠すことが失礼にあたるという風潮もあります。特に、コロナ禍を越えてマスクの着用が日常になってからは、マスクとサングラスをダブルでつけると顔がほとんど分からないことから、「不信感を持たれるのではないか?」と懸念する人もいるかもしれません。しかし、欧米ではサングラスの着用は日常的で、オーストラリアでは、条例でサングラス着用を義務付けている地域も。今回は、意外と知らないサングラス事情にスポットを当ててみます。

欧米生まれのサングラス
元々はパイロットのために作られた
サングラスの原型は4000年も前、北極圏に住むエスキモーが、雪の照り返しから目を守るために使っていた遮光器(スノーゴーグル)だといわれています。流木やセイウチの牙、トナカイの角などを顔にぴったりフィットするように削り、真ん中に細い隙間を作って、そこから覗けるようにしていました。
レンズを使ったサングラスでは、古代ローマ皇帝ネロ(在位54~68年)が闘技観戦をするときに使用した、エメラルドのレンズのサングラスだったという説が有力。しかし、現代のサングラスが普及する大きなきっかけとなったのは1929年のこと。米軍航空機のパイロットが太陽の眩しさや紫外線で不調をきたす例が多くなり、6年もかけて太陽から目を保護するためのサングラスが開発されたのです。翌年には軍に正式に採用され、後に大量生産されて一般にも出回るようになります。このときのモデルが「アビエイター」。現在も、世界の人気ブランド「レイバン(Ray-Ban)」の主力モデルとして君臨しています。
「ティアドロップ型」といわれる涙のしずくのような形をしたフレームデザインが特徴的で、アメリカのGHQ総司令官だったダグラス・マッカーサーが着用して日本に訪れたことで有名。映画『トップガン』のトム・クルーズや、TVドラマ『西部警察』で渡哲也演じる大門刑事が着用したことでも広まりました。
日本よりも欧米でサングラスが普及した理由
アビエイターの誕生以降、サングラスは欧米で急速に普及していきました。もちろん、そのファッション性に注目が集まったことも理由のひとつ。しかし、一番の理由は、「太陽光から目を保護する」という元々の役割が、欧米人にとって必要だったからと考えられます。
日射量は緯度が高い地域ほど少なくなるため、高緯度地域に住む欧米人は、多くの日射量を取り込んでビタミンDを形成するために、紫外線を吸収しやすい体質をしています。白いものに吸収されやすい特徴がある紫外線を取り込むために、欧米人は肌が白く、瞳の色も青や茶色など、薄い色をしているのです。光の感受性も違うようで、「日本の照明はまぶし過ぎる」と訴える欧米人も少なくありません。オゾン層の破壊によって、日射量や紫外線量が急増している現代。サングラスは欧米人にとって、強すぎる光の眩しさや紫外線から目を守る救世主のような存在なのでしょう。赤道付近で日射量が多いオーストラリアの地域で、サングラスの着用が義務付けられていることも頷けます。

目から紫外線を受けても日焼けする!?
では、黄色人種であり瞳の色が黒い日本人は、紫外線を浴びても問題ないのか? というと決してそうではありません。気象庁によると、つくば市の地表に到達する紅斑紫外線量(紫外線が人体へ及ぼす影響の度合を示す量)は、1990年以降増加しており、増加率は10年あたり+4.1%(年間2.92kJ/m2)だそうです。
また、大阪市立大学医学部名誉教授で健康科学研究所(大阪市淀川区)の井上正康所長らのチームの研究結果によると、目も紫外線を浴びると、肌と同じように日焼けをし、様々な病気の原因になるだけでなく、シミやそばかすの元になるメラニン色素が生成される可能性があるという実験結果が発表されました。肌の日焼け対策が当たり前になってきた今、サングラスも必需品だといえそうです。
参考:ウェザーニュース https://weathernews.jp/s/topics/201905/200265/
多様化するラインナップから
自分に合ったものを見つけるには?
そうはいっても、サングラスをいざ買うとなると、デザインも機能もさまざまで、どれを選べばよいか迷ってしまう人もいるかもしれません。
選ぶ際にまず確認したいのが「UV400」または「紫外線透過率0.1%以下」の表示です。
なお、レンズの色の濃さとUVカット性能は別物です。濃い色のレンズでもUVカット機能が十分でない場合があり、その場合は瞳孔が開くことで紫外線の影響を受けやすくなる可能性があります。「濃ければ安心」ではなく、UV400の表示を必ず確認しましょう。
また、レンズ選びは、使うシーン別に考えると分かりやすくなります。
街中・日常使いでは、目線が見えるくらいの薄めのレンズカラーが使いやすく、グリーン・グレー・ブラウン系などの透明感のある色は、顔になじみやすく自然な印象をつくりやすくなります。初めてサングラスを選ぶ場合にも、取り入れやすいカラーです。
可視光をある程度通すため、色覚やコントラスト、明るさの感覚も大きく損なわれにくいのが特徴です。マスクを着用する機会が増えた近年は薄い色のレンズが人気を集めていますが、こうした理由からも理にかなった選択といえます。

アウトドアや強い日差しの環境(釣り・ゴルフ・スキー・登山・運転など)では、乱反射によるまぶしさを抑える偏光レンズもおすすめ。水面や芝、雪面、対向車などで発生する反射光が軽減され、見やすくなります。
紫外線の少ない室内では透明に近く、屋外で紫外線に当たると色づく調光レンズは、着けたり外したりするのが億劫な人に適しています。
フレームは一般的に、丸顔には横幅が広い長方形の形をした「スクエア型」、三角顔には逆三角形で下が丸みを帯びた「ボストン型」、四角顔には丸形の「ラウンド型」、面長顔には縦に長い四角形の「ウェリントン型」が似合うといわれています。
安価なものも多いサングラスですが、1本目は専門店に足を運ぶと、様々な情報を考慮して相談できるので安心。日本のブランドを多く扱っているお店なら、機能だけでなく、自分の顔に似合うサングラスも見つかりやすいでしょう。




