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熊谷 悠太
梅の木眼科クリニック 院長
2003年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院眼科学教室入局。2009年聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了。桜ヶ丘中央病院眼科部長、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長などを経て、2019年梅の木眼科クリニック開院。日本眼科学会認定眼科専門医、身体障害者福祉法指定医。
一般社団法人日本コンタクトレンズ協会が、2022年に15〜59歳の男女を対象に実施した調査では、メガネとコンタクトレンズを含めた使用率は65.5%で、そのうち約半数がコンタクトレンズを使用していました。また同調査では、コンタクトレンズの購入頻度が高い販売施設として、インターネット通販の割合が約30%に達しており、2014年の23%から増加していることが分かりました。
ところで、メガネとコンタクトレンズを使い分けるとき、それぞれの度数を確認したことはあるでしょうか。同じ人が装着するなら、メガネもコンタクトレンズも同じ度数だと思っている方は多いかもしれません。しかし実際には、コンタクトレンズの度数はメガネの度数と異なる場合が多いのです。なぜこのような違いが生じるのでしょうか? その理由を詳しく見ていきましょう。
「度数」と「視力」の違いは?
「度数」とは、レンズが光を通すときにどれだけ屈折させる力を持っているかを示す値です。焦点距離(メートル)の逆数で表され、「ディオプトリ(D)」という単位を用います。レンズには、メガネやコンタクトレンズだけでなく、眼の中でレンズの役割を果たす角膜や水晶体も含まれます。角膜と水晶体の屈折力を合わせると、約60ディオプトリになります。この屈折力が強すぎる(数値が大きい)と、網膜の手前で焦点が合うことになり、その状態を「近視」といいます。また、屈折力が弱すぎる(数値が小さい)と焦点が網膜の奥にずれてしまい、その状態を「遠視」といいます。
一方、視力は、眼の中心と2点を結ぶときにできる角度(視覚)の逆数で表されます。例えば、視力検査で使用されるランドルト環(C字型のマーク)では、隙間の両端と眼の中心がなす角度が1分(1/60度)の環を5メートルの距離から識別できる場合、視覚1分の逆数(1/1)という意味で、視力1.0とされます。
このように、度数がレンズの屈折力を表すのに対し、視力はランドルト環の隙間のような2点を2点として見分けることができる眼の力を表しているのです。

メガネ、コンタクトレンズの度数とは?
メガネやコンタクトレンズの度数は、近視の場合には「−1.0(D)」のように負の数で表し、遠視や老眼の場合には、「+1.0(D)」のようにプラスマークを付けて正の数で表記します。この度数の計算には、角膜前面とレンズ後面までの「頂点間距離」が関係します。一般的なメガネの頂点間距離は約12ミリメートルです。しかし、鼻が高い人や、老眼鏡を鼻眼鏡(メガネを目から離すように掛ける)として使用すると、この距離が12ミリメートル以上になることがあり、その結果、必要な度数が弱くなることがあります。
一方で、コンタクトレンズは角膜に直に接するため、頂点間距離は「0」になります。この違いが、メガネとコンタクトレンズの度数が異なる理由です。近視の場合は、コンタクトレンズの度数はメガネよりも弱くなり、遠視の場合は、コンタクトレンズの度数がメガネよりも強くなる傾向があります。

適切な度数を知るには専門的な検査を
メガネの頂点間距離は一般的に12ミリメートルなので、メガネの正確な度数が分かれば、理論上はコンタクトレンズの度数を計算することが可能です。ただし、メガネの度数は頂点間距離の影響だけでなく、使用目的によっても最適な度数が異なることがあります。例えばメガネを作る際に、遠くをはっきり見たい場合と、読書やデスクワークに特化した場合では、異なる度数に調整されることがあります。
コンタクトレンズは、メガネのように状況に応じて掛け替えるには手間がかかるため、度数の調整には、より慎重にこれらを考慮する必要があります。長時間装着することが多いため、わずかな違和感でも眼の疲労感を増幅させる可能性もあります。眼に直接装着するため、角膜のカーブや涙の分泌量も考慮した専門的な検査も必要です。

また、眼には水晶体の厚みを変えて焦点調節を行う働き(調整力)がありますが、この力には個人差があり、眼の状態や年齢によっても変化します。そのため、適切な度数のメガネやコンタクトレンズによって最適な見え方を維持するには、定期的に眼の検査を受けることが推奨されています。メガネやコンタクトレンズによる視力矯正は、快適な生活を支える大切な要素です。眼の健康を守るためにも、まずは自分の眼の状態を知り、最適なメガネやコンタクトレンズを選びましょう。
(参考資料)
日本眼科学会「近視・遠視・乱視」
日本眼科学会「成人の視力検査および眼鏡処方に関する手引き」
日本近視学会「近視とは?」
メディカ出版「眼科ケア Volume 12, Issue 10, 1030 – 1032 (2010)」
幻冬舎メディアコンサルティング「眼鏡・コンタクトレンズの選び方」
学研プラス「単位と記号」
日本工業新聞社「ポピュラーサイエンスブックス」
秀和システム「図解入門よくわかる 最新レンズの基本と仕組み[第3版]」




