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倉員 敏明
医療法人創光会くらかず眼科 理事長
さいたま市大宮・医療法人創光会くらかず眼科院長
愛媛大学医学部卒業。手術特化の眼科として、複数の眼科医によるチーム医療体制で2,200名以上の手術を行う(2025年)。手術器具・手術方法の開発や眼内レンズの研究にも取り組んでいる。
オンライン診療は、自宅にいながら医師の診察を受けることができる便利な医療サービスです。外出自粛を余儀なくされた新型コロナウイルス感染症の影響で、その利便性が全国的に注目されるようになりました。今後は感染症の流行時のほか、へき地や離島など遠隔地での活用拡大など、ますます普及が進むと期待されています。本記事では、オンライン診療のメリットと利用方法について詳しく解説します。
オンライン診療とは?
オンライン診療とは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを利用し、インターネット上で医師の診察や処方箋を受け取ることができる医療サービスです。自宅やオフィスなど場所を選ばず受診できるため、通院費のほか通院にかかる時間や身体的負担を軽減でき、利便性が高いと注目度が高まっています。
2018(平成30)年3月、厚生労働省により「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が策定されました。そして同年4月から一定の要件を満たすことを前提に「オンライン診療料」が新設され、オンライン診療も健康保険が適用されることになりました。
その後、2020(令和2)年に新型コロナウイルス感染症による影響で、初診からのオンライン診療・電話診療が特例的に認められることに。これによって医療機関を受診することが困難となった新型コロナウイルス感染症患者や、宿泊療養施設の患者への医療を提供する手段として、オンライン診療が一般的に利用されるようになり、開始する医療機関も増えはじめます。それに伴い、対象疾患に定期的な通院が必要とされる慢性頭痛患者が追加されたり、オンライン診療を開始できるまでの期間が短縮されたりと、要件が緩和されました。
2021(令和3)年には、「規制改革実施計画」によって、初診からのオンライン診療を恒久化することが決定。2022年1月の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」改定を踏まえ、2022年度の診療報酬改定では、オンライン診療料の廃止、情報通信機器を用いた初・再診料、医学管理料などの評価が新設されます。これによりオンライン診療は、対面診療に大きく近づきました。
オンライン診療のメリット
オンライン診療のメリットは数々ありますが、患者にとっては第一に通院時間や医院での待ち時間がなくなるため、時間の節約と患者の肉体的負担の大幅な軽減になります。
さらに、通院や院内での感染リスク軽減にも大きく寄与し、通院に対する不安も解消。また、通院に伴う金銭的負担も節約でき、高齢の患者(施設入所者など)の通院に付添っていた家族や、施設職員の付添い負担の軽減にも役立っているようです。
医院によってはオンラインによる服薬指導の後、希望の薬局にオンラインやFAXで処方せんを送ってもらえるため、薬局での待ち時間もなく処方薬が受け取れ、自宅に薬を配達してもらうことも可能になっています。
また専用アプリから処方箋原本や処方内容を患者自身が調剤薬局へ送信することで、薬局で受け取る場合も待ち時間を短縮できることになります(薬の処方については医療機関のシステムによって異なるので、事前の確認が必要です)。
このようなオンラインによる効率的・効果的な医療提供体制によって、例えば数少ない専門的治療を全国どこからでも受診することが可能になります。また忙しくて継続的な通院が難しかった人、交通の便が悪い地域に住む人も治療を継続することができるようになった例も多いようです。このような利点から、自宅やオフィスでリラックスしながら診察を受けられるオンライン診療を、今後継続したいと考える人が増えています。
オンライン診療の具体的な利用法
オンライン診療の流れとしては、まずかかりつけ医に相談するか、最寄りの医療機関のホームページを確認し、オンライン診療が可能な医院を探します。病状によっては、医師の判断によりすぐに医療機関を受診する必要があるため、できるだけ家の近くの医療機関を選ぶことが大事です。かかりつけ医がおらず、近くで見つからない場合は、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」をはじめ、オンライン診療・服薬指導アプリなどでも、オンライン診療を行っている近隣の医療機関を探すことができます。
医療機関が見つかったら、予約をして日時を決めます。当日は医療機関からの連絡を待ち、スマートフォンのアプリや、パソコンのビデオチャットなどを利用して診療を受けることになります。初診では、受診を希望している本人であることを確認するために、個人情報を伝え(本人確認書類の提示を求められる場合もあります)、症状等を詳細に説明します。
薬を処方された際、服薬指導や薬の配送を希望する場合は、利用する薬局を医療機関に伝えた上で、診察後に薬局に電話やアプリなどで連絡します。そうすればオンラインでの服薬指導の後、薬が配送されます。ただし、症状によっては医療機関や薬局を訪れて、服薬指導を受ける必要がある場合も。診療や薬の処方の会計は、診察後に登録したクレジットカードで決済するのが一般的です。
注意点としては、オンライン診療では診断や薬の処方が困難な病状もあります。医療機関で直接受診するよう勧められた場合は従うようにしましょう。
総務省が発表した「令和4年情報通信白書」では、オンライン診療の導入率は全体の15%程度となっています。また、厚生労働省の調査によると、令和5年3月時点で18,121の医療機関が「電話や情報通信機器を用いた診療を実施できる」とのことです。
年々増加が見込まれるオンライン診療ですが、厚生労働省では、オンライン診療の安全で適切な活用のため、医師、患者、関係者に向けて「最低限遵守する事項」や「推奨される事項」などを示した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を公表しています。この指針を踏まえて、患者がオンライン診療を利用する際に知っておきたい「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト」も作成されています。オンライン診療の受診を検討している方はぜひ確認することをおすすめします。
オンライン診療の今後
今後は、画像診断技術や各種計測機器の小型化・高性能化、遠隔測定技術、AIによる画像解析などが進むことで、オンライン診療で取得できる医療情報がさらに増えていく可能性があります。
現在は対面での検査が必要な診療領域も、将来的には自宅や医療機関以外の場所から検査データを取得し、その情報をもとに医師が診療する場面が増えていくかもしれません。
オンライン診療が普及すれば、通院負担の軽減に加えて、オンラインで経過を確認できる患者と、対面での診察や専門的な判断が必要な患者を適切に振り分けることにもつながるでしょう。これによって、医師がより専門的な判断を必要とする患者に時間を充てられる医療体制の構築も期待されています。
出典
厚生労働省「オンライン診療等の診療報酬上の評価見直しについて」
厚生労働省「オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集」(令和6年4月版)
総務省「令和4年情報通信白書」
厚生労働省「令和5年1月~3月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」




