2023-11-22

視力検査のときに見えるもの~C字型のマークと赤い屋根

目次

健康診断の一環として行われる「視力検査」は、多くの人が体験したことがあるでしょう。C字型の記号が整列している視力検査表を用いて、片目を塞いで測定する方法を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。これは「自覚検査(自覚的屈折検査)」といわれる視力検査の一種です。実は、現代の視力検査には、「自覚検査」と並び、「他覚検査(他覚的屈折検査)」と呼ばれる方法も存在します。眼科や眼鏡店、健康診断で検査したことがある人なら、恐らく経験したことがあるはず。それぞれの検査方法について詳しく見てみましょう。

 

C字型の記号の正式名称は「ランドルト環」

そもそも視力とはどういう意味を表すのでしょうか。「対象物をどれだけ細部まで見分けられるか」を示す能力として一般的に理解されますが、広辞苑で調べると「眼で2点を区別し得る能力」と定義されています。この定義に基づいて視力検査を革新したのが、19世紀後半〜20世紀初頭にかけて活躍したフランスの眼科医エドムンド・ランドルトでした。

 

ランドルトは、視力を数値化するために、視力検査表でおなじみの、あのC字型の記号「ランドルト環」を開発しました。ランドルト環は、輪の一部が欠けており、その欠けている部分がどの方向にあるかを判断することで視力を測定します。つまり、ランドルト環の欠けている部分の両端の2点を区別できるかどうかで視力を評価するということです。視力の悪い人なら、欠けている部分が見分けられずランドルト環が真ん丸に見えるという経験があると思います。

 

視力1.0を評価するためのランドルト環は、直径7.5mm、線の幅1.5mm、欠けている部分の幅が1.5mmです。この「欠けている部分の幅1.5mm」を5m離れた場所から見てもはっきりと認識できた場合、その人の視力は1.0と判定します。欠けている部分の幅が半分のサイズでもランドルト環が見分けられれば視力は2.0、逆に2倍の幅でようやく見えるのであれば、視力は0.5となります。

 

ランドルトの革新により、視力ははっきりと数値化され、例えば自動車の運転に必要な裸眼視力の基準を「両眼で0.7以上、かつ片眼でそれぞれ0.3以上」と設定することができるようになりました。

視力を自動で測定する技術:オートレフラクトメーター

それでは、「他覚検査」とはどのような検査でしょうか。これは、オートレフラクトメーター(通称オートレフ)という高度な装置を用いて行います。私たちの視覚は、目に入ってきた光が水晶体というレンズを通過するときに屈折し、目の奥にある網膜に焦点を結んで映像化することで生じます。この原理を利用し、オートレフは光を当てて網膜に反射させ、その屈折率を調べます。その結果、その人が近視なのか、遠視なのか、乱視が含まれているかと、その程度まで評価することができるのです。

 

眼鏡店で矯正用の眼鏡をつくる際、ランドルト環による視力検査をしていないのに、度数が調べられていて不思議に思ったことはないでしょうか。「乱視が入っていますね」「近視が強いですね」などと言い当てられて驚いたこともあるかもしれません。そんな時は、恐らくオートレフによる検査を先に行っているはずです。

赤い屋根が見える機械に出合ったことはありますか?

オートレフラクトメーターは、機械の内部の風景を片目ずつ覗いて検査する装置です。内部には、気球や木、家など、さまざまな対象物が描かれています。「対象物を見てください」と指示されると、対象物はクリアに見えたり、ぼんやり見えたりします。これは目をリラックスさせるための工夫。ピントが合っているときは、ピントを合わせようと水晶体を変形させるため目の筋肉に力が入っているときなのです。そのため、わざとぼやけてさせて、水晶体をナチュラルな状態に戻します。

そしてその風景の中で、特徴的な赤い屋根の家を見つけたら、それはトプコン製の機器。トプコンは、1947年に眼科医療機器事業を開始しました。それ以来70年以上、”眼は身体の窓<Healthcare through the Eye>”という理念のもと、目を通じて健康を維持するための製品を提供しています。

 

赤い屋根の家が描かれたオートレフは、トプコンの代表的な製品のひとつです。ほかにも、トプコンでは、眼鏡やコンタクトレンズの作成時、また眼科での検査時など、目の健康をサポートする多くの機器を開発してきました。次回検眼を受ける際には、ぜひ、トプコンのマークを探してみてください。