2023-04-05

国内外でおにぎり専門店が出店ラッシュ
おにぎりが日本の米を救う!?

目次

昔はおにぎりといえば、家庭でつくるものでしたが、ここ近年おにぎりの専門店が増加中です。特にコロナ禍から出店数が増え、グルメガイド「ミシュラン」に掲載される店も登場するなど、国内外からも熱い視線を浴びています。日本人の米離れを食い止めるだけなく、国内外の新たな需要を開拓する可能性を秘めたおにぎりにまつわる米事情を探ります。

今や群雄割拠。おにぎり専門店が急増中

令和の今、密かにおにぎり専門店の出店が相次ぎ、おにぎりが各方面から熱い視線を集めています。おにぎりが近年、話題になった出来事の一つが、東京・浅草のおにぎり専門店「おにぎり 浅草 宿六」が「ミシュランガイド東京2019」に掲載されたこと。同店は昭和29年創業という地元の人々に長く愛されてきた老舗のおにぎり専門店でしたが、浅草という場所柄、インバウンドを含めた観光客が訪れる機会も増え、いつしかそのおいしさが広く知れ渡るように。そして、おにぎり専門店としては初のミシュラン掲載という快挙を成し遂げ、寿司や天ぷらなどに並んで日本の伝統的な食文化・おにぎりのおいしさが認められることとなりました。

また、昨今は一つの料理や食材に特化した個性的な専門店が次々と登場していますが、コロナ禍を機に増えてきたのが、おにぎり専門店です。こだわりの具材を使ったもの、握り方にこだわったものなど、多種多様な店がオープンする中、最近のおにぎり専門店を語る上で外せないキーワードが“進化系”です。形状も見た目も味も今までにないようなものへと進化しています。例えば、コロンとまんまるな形に整えられたビジュアル重視なおにぎりや、鮭+アボガドといった意外性のある具材を組み合わせた“変わり種”おにぎり、最近ならおにぎりにチーズをまとわせた羽根付きの焼きおにぎりなども登場。おいしさはもちろんながら、SNS映えする見た目や新しい食感が楽しめるものが増えるなど、おにぎりの可能性を広げています。

“おにぎらず”の登場と小麦の価格高騰がおにぎりブームを後押し

ひと昔前はおにぎりといえば各家庭で作るというのが定番でしたが、1970年代にコンビニエンスストアの登場から、「作る」ものから「買う」ものへと変化。そして、2015年頃から握らない“おにぎらず”がSNSを中心にブームになったことが大きな転換期になりました。おにぎらずの登場から、これまで定番だった梅干しやシャケだけでなく、見た目や具材などを個人で創意工夫する人が増加。それがSNSを通じて認知され、調理法や具材などの自由度や多様性が再発見されたことが、近年のおにぎりブームへと進化するきっかけになったといわれています。

さらに、小麦の価格高騰もおにぎりを扱う店が急増した一因に。外食産業のコメとライバルにもなるパンやラーメンなどの原料である小麦の価格が上がったことで、消費者は安くておいしいおにぎりを購入する頻度が増えただけでなく、店側にとっても省コストで機材が揃えられ、なおかつアレンジがしやすく、いろんなバリエーションで展開できるおにぎりは魅力的な商材になったのだと考えられます。

コロナ禍でテイクアウト需要が高まるなど内食が進む中、そういった専門店の出店が後押しにもなり、2021年の米飯類の販売市場は4兆4,429億円と前年比より104.8%と増加傾向。購入頻度も弁当に次いで、おにぎりが2位にランクインするなど、売り上げ・販売量ともアップしています[一般社団法人日本惣菜協会『2022年版惣菜白書』より※米飯類=弁当、おにぎり、寿司など]。

おにぎりが海外でも米食の起爆剤になっている

今や世界各国で和食の需要は高まっていますが、その中でも「ONIGIRI」ブームが急速に拡大中です。例えば、香港の専門店「華御結」は2011年の1号店オープン以降、10年ほどで店舗数は約120店舗まで増えています。フランスではパリ市内のスーパーで“日本のサンドイッチ”と紹介され、軽食コーナーに置かれるほどランチのスタンダードとして浸透し、ドイツやアメリカではおにぎりを製造販売する日本企業の出店ラッシュが続いています。

かつて和食といえば、「すし」「天ぷら」が一般的でしたが、なぜ今、おにぎりにスポットが当たっているのかといえば、やはりその手軽さから。片手で食べられ、手を汚さない食事はスマホ世代にも最適で、少量で小腹が満たされるのも大きな利点。また、米、海苔、塩で構成されるおにぎりは、具材さえ選べばベジタリアンやヴィーガン、ムスリムでも食べることができるなど、多種多様な食生活や宗教を抱える海外では、おにぎりのポテンシャルはかなり高いともいえます。そして、今の時代は世界中が健康志向になってきていることからも、ヘルシー食材でもあるおにぎりの需要は今後もますます増えると予想されます。

日本の米をおにぎりが救う日は近い

今年になってからは各コンビニで販売するおにぎりも大きな変化が出てきました。数年前は贅沢な具材を使った商品が多く見られましたが、今年になってからはコメの味にフューチャーした商品が続々と発売されています。ローソンでは北海道産「ふっくりんこ」「ゆめぴりか」、山形県産「雪若丸」など、各地の希少なブランド米を使ったおにぎりを販売。また、セブンイレブンはあえて海苔を使用せず、選りすぐりのコメをブレンドし、コメの味を楽しむおにぎりが登場しています。これもコロナ禍により、自宅で食事機会が増えることで、品質の高い銘柄米やこだわりのコメを求める傾向の高まりから、そのニーズを受けての商品化だと考えられます。

日本国内のコメの消費量は依然減少傾向ですが、それに反比例するように国内外でのおにぎり人気を受けて、世界的にマーケットが広がることが予想できます。今後は銘柄米などに焦点を当てつつ、米消費回復へと繋げられることを期待せずにはいられません。

そんな米づくりの大きなサポートとなるのが、スマート農業です。トプコンでは技術面での負担を軽減する製品「GNSSガイダンスシステム」や「自動操舵システム」を開発。農作業に不可欠なトラクターの正確なハンドリングをサポートすることで、熟練者でなくても、高精度で効率の良い農作業を可能にします。スマート農業技術を活用し、作業の省力化や経験不足を補うことで、米づくりを取り巻く問題を解決していきます。

トプコンは、2006年よりスマート農業に取り組んでいます。
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