2023-11-08

これから流行る野菜は?
今後注目の野菜で儲かる農業へ

目次

野菜においても時代の流れとともに流行やニーズは変わってきます。近年は消費者の健康志向の高まりから野菜への関心は年々右肩上がりになり、売れる野菜も変化が見られるようになってきました。そこで、平成に流行った野菜や令和の時代に注目されている野菜などを踏まえながら、今後どういった野菜が人気になるのかを検証していきます。そして、売れる野菜のキーワードを探りながら、何が儲かる農業につながるのかを探ります。

 

パクチーにアボカド…平成に流行し定着した野菜たち

世界的な健康志向を背景に、野菜への注目度が増しています。特にコロナ禍を経て、自炊の機会が増えたことから、健康的な食生活を意識して野菜を積極的に摂取する人が増えたともいわれています。そんな野菜にも時代の変化とともに、流行があることをご存知でしょうか。

 

種苗メーカーの大手・タキイ種苗(本社:京都市)が2018年に行った「平成最後の年に野菜を振り返る」アンケート調査で、平成の30年間で「流行ったと思う野菜」「代表すると思う野菜」「定着したと思う野菜」を調査したところ、すべてのランキングでパクチーが1位を独占。その他、「アボカド」「フルーツトマト」「ズッキーニ」がランクインしました。

 

パクチーが脚光を浴びた理由といえば、タイ料理やベトナム料理といった東南アジアなどの料理が流行し、定着したことが背景にあります。当初はアジア飯などで楽しむのが一般的でしたが、潜在的にあった薬味としての万能性から、今では洋食や和食などあらゆるジャンルの料理にも取り入れられるように。スーパーでもすっかりお馴染みの野菜として定着し、2020年における全国の生産量は571トン。364トンだった2016年と比べても2倍近く生産量が増大しています。

 

また、アボカドは不飽和脂肪酸を多く含み、食物繊維が豊富といった栄養素の高さが認知されたことが後押しになり、人気が定着。フルーツトマトに関しては、昔はトマト=酸っぱいというイメージだったものが、フルーツトマトの台頭により、「甘くて食べやすくなった」という声が支持につながったようです。そして、ズッキーニはあらゆる料理に馴染みやすい味わいと、煮込みからサラダまでと幅広く使える使い勝手の良さが評価されています。

 

令和の時代はどんな野菜が支持されているのか?

そして、令和になった今はどんな野菜が注目されているのでしょうか? 同じくアンケートの結果によると、次なる流行野菜として注目されているのが「スプラウト」。スプラウトとは豆や野菜などの新芽のことで、カイワレ大根やマメ科のアルファルファなどが有名ですが、最近はブロッコリーやレッドキャベツなど多様なスプラウトが販売されています。

 

このスプラウトが注目される理由は、天然のサプリと呼ばれるほど栄養を豊富に含んでいることから。また、生で食べられる使いやすさもあり、健康志向かつ時短調理が可能といった点で今の時代のニーズにハマったともいえます。それを裏付けるように、スプラウト栽培の大手・株式会社村上農園(本社:広島市)は2019年度の売上高が過去最高の107億円を記録。出荷量はここ6年で約6倍にまで伸びています。

次いで注目されているのが「ビーツ」です。昔はロシア料理のボルシチなど限られた料理でしか見ることがなかったものの、今は鮮やかな色を活かして、サラダやスープ、煮込み料理やスイーツまでと様々な料理に活用されています。見た目ほどクセはなく、何より注目したいのが、 “奇跡の野菜”“食べる輸血”といわれるほど栄養素が豊富なこと。それに加えて、“SNS映え”が注目される近年は、真っ赤なビーツを使ったメニューは目を引く効果もあることから、注目度が増しているようです。国内では北海道や長野県などで生産されていますが、知名度に対してまだまだ出回る量が少なく、ビジネスチャンスのある野菜ともいえます。

 

いずれも着目したい点は、高い栄養価。新たに脚光を浴びる野菜はおいしさだけではなく、“健康コスパ”も重視されていると考えられます。特にコロナ禍を経て健康志向が強まった今、それが顕著になっていくのかもしれません。

 

今後注目の野菜とは? 日本産のヨーロッパ野菜に熱視線

また、今後大きな需要が期待できるといわれているのが、ヨーロッパ野菜。ヨーロッパ野菜は野菜の厳密な分類ではなく、ヨーロッパ原産の野菜で、日本ではまだ定着していない野菜のこと。例を挙げると、スティック状のカリフラワー「カリフローレ」、タマネギのような見た目でフェンネルとも呼ばれる「フィノッキオ」、結球しない黒キャベツ「カーボロ・ネロ」などがあります。フランス料理やイタリア料理などで一定のニーズがあるものの、高温多湿の日本ではうまく育たず、認知度の低さもあって、これまでは市場で売れにくいとされていました。

 

しかし、近年はさいたま市などを中心に栽培が活発化。フレンチやイタリアンの専門店だけでなく、カフェなどでもニーズが増えており、今後もヨーロッパ野菜の需要は増えると考えられます。

 

そして、もう一つの注目野菜が青パパイア。青パパイアは熟す前に収穫し、サラダを中心に漬物や炒め物、スムージーなどに使用されます。注目される理由は酵素の含有量が多く、免疫力を高める働きがあることから、「スーパーフードランキング」(一般社団法人日本スーパーフード協会、2022年)の1位に選ばれて以降、各地で生産が進んでいます。

 

将来的に注目される野菜のキーワードは「栄養価の高さ」と「使いやすさ」

将来的に人気が出る野菜はまだ不確定ながらも、「栄養価の高さ」と「価格競争に巻き込まれにくい新しい野菜」がキーワードになってくると思われます。

 

そして、もう一つのキーワードが「使いやすさ」。例えば、白菜の生産量は2007年で約91万トンと、1968年と比較すると半分以下まで減少しています。その背景には、核家族化が進むことで従来の大きな白菜を一度に使い切ることができず、カット販売が主流になることが生産量の低下にも繋がっています。しかし、カット販売は日持ちの点などで課題がある中、消費者のニーズに合わせた品種として、食べきりサイズのミニ白菜が注目を浴びるように。各種苗会社からも「お黄にいり」「娃々菜(わわさい)」といったミニサイズ白菜の品種が続々と登場するなど、同じ野菜を栽培するとしても、需要に合わせた“売れる品種”への切り替えも今後は重要になってきそうです。

 

気候変動も激しく、ニーズも目まぐるしく変化する今の時代は、従来の野菜だけではなく、新しい野菜も取り入れて栽培計画を考えるのがこれからの農業のあり方かもしれません。

 

そのためには作業の効率化にも目を向けたいもの。その得策がスマート農業の導入です。トプコンではスマート農業にいち早く取り組んできました。農作業の自動化や、農作業データの一元管理によって、農業経験が浅い人であっても熟練者並みの効率のいい作業を実現しています。

野菜の品種に流行はあれど、栽培するという作業に変わりはありません。生産者が新しい野菜の栽培に前向きに取り組めるよう、トプコンは様々な技術で生産者に貢献しています。

トプコンは、2006年よりスマート農業に取り組んでいます。

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