2024-04-12

空や海が青い理由とは?

目次

「青い空、青い海」という言葉は、詩や芸術の題材としてもよく使われ、澄み渡った空と穏やかな海を連想させます。しかし、どうして空や海は青いのでしょうか。人気マンガ『名探偵コナン』では、「海のブルーは空のブルーが写っている」と言う怪盗キッドに対し、「空と海の色が青いのは、色の散乱と反射…全く性質が異なる理由によるものだ…」「その証拠に水たまりは青くねえだろーが!」と、コナンが反論するシーンがあります。一体どういうことでしょうか。本記事で探ってみましょう。

なぜ空は青いのか

「空」という漢字は「そら」としての意味のほかに、「から」「くう」とも読み、「からっぽ」という意味も持っています。古代中国では、「天はまったく空虚で、空が青く見えるのは深い谷が暗黒に見えるのと同じように果てしなく遠いからだ」と考えられていました。空は確かに高く、遠くに広がっていますが、なぜそれが深い谷のように暗くならず、青く見えるのでしょうか。それは「光の散乱」という現象が関係しています。

 

「空」は決して「からっぽ」ではありません。実際には、多数の気体分子が含まれています。太陽の光は、大気を通過するとき、これらの気体分子にぶつかって、さまざまな方向へと散乱します。太陽光はさまざまな色の光線を含んでおり、どの色も散乱しますが、特に青い光がたくさん散乱しやすく、その光が地表に届くため空が青く見えるのです。

なぜ夕焼けは空が赤く染まるのか

朝や夕方、太陽の高度が低い時間帯には、太陽光は昼間よりも長い距離を通過して地表に到達します。その過程で青い光は散乱し切ってしまい、地表には届きません。代わりに、昼間の短い距離ではあまり散乱しなかった他の光が、緑→黄色→橙→赤の順に散乱し始めます。そのため、最も地表近くで散乱した橙や赤色が私たちの目に届き、朝焼けや夕焼けのように空が赤く染まって見えるのです。

 

昼間と夕方や朝とでは、太陽の色も変わります。光はさまざまな色が混ざると白く見えます。昼間は、太陽光が地上に届くまでに多くの色が散乱しきらないため白く見えますが、夕方や朝には多くの色が散乱し、赤や橙色の光が目立つようになります。同じ原理で、月も昇り始めるときや沈む直前には赤みを帯びて見えます。

 

ちなみに、日本では太陽を描くときに赤色を使うことが一般的ですが、そのような習慣を持つ国は世界的に見ても珍しいとされています。

 

空の色が日によって違うのはなぜ

太陽光は大気中の気体分子だけでなく、水蒸気やチリ・ホコリなどの不純物にも当たって散乱します。しかし、水蒸気や不純物の粒子は気体分子よりも大きく、太陽光に含まれるすべての色が同程度に散乱するため、それらが重なり合って白く見えます。晴れていても、空が白っぽく見える日があるのはこのためです。また、水蒸気の量が減少する秋に、空がより澄んで青く感じるのもこのためです。

 

小さな気体分子によって光が散乱する現象を「レイリー散乱」、水蒸気などの大きな粒子によって光が散乱する現象を「ミー散乱」と呼びます。

海の色が青いのは、空が青いのとは異なる理由がある

一方で、海が青く見える理由は、空が青く見える理由とは異なります。大気中を真っ直ぐ進んできた光は、海水に到達すると屈折して水中を進みます。海水は青い光よりも赤い光を吸収しやすい性質があります。このため赤い光は水面から約10mの深さまでしか届かずに吸収されてしまいますが、青い光は吸収されずに30m以上の深さまで到達します。この青い光が、海水に含まれる浮遊物やプランクトンなどに当たって散乱したり、海底で反射したりして、私たちの目に届くことで青く見えるのです。また、太陽光は海面でも反射するので、空が明るければ海も明るく見えます。怪盗キッドの「空の色が写っている」という発言も全く間違っているとは言えないのです。

 

このように、日常生活で何気なく見上げる空や見渡す海の色には、実は科学の仕組みが働いています。次に空や海を見る際には、その色の成り立ちを思い出し、青色を観察してみると新しい発見や感動に出会えるかもしれません。

 

(参考文献)
『空はどうして青いのか』松村しづこ著(大月書店)