2023-11-28

若い世代も無関係ではない⁉
「スマホ老眼」を知っていますか?

目次

総務省が発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、令和4年度における20〜30代のインターネット利用状況は約97%を超えており、そのうち約90%が、インターネット利用機器にスマートフォンを利用しています。日本のモバイルブロードバンド普及率は世界第2位(2022年7月時点)と、今は日本のあらゆる場所でスマートフォンがつながりやすい時代です。(https://www.globalnote.jp/post-12858.html

特に近年のコロナ禍で、SNS、インターネットショッピング、動画配信サービスなどを利用する人が急増。スマートフォンは毎日の生活に欠かせない存在になっています。しかし、トレンド総研が20〜30代のスマホユーザーに行ったアンケート結果によると、6割以上の人がスマートフォンを利用するようになってから、目の悩みが増えたと回答しています。(https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102314/201603098712/_prw_PR1fl_s0SD669U.pdf)「スマホ老眼」の自覚があると回答した人も約4割。いったい、どのような症状なのでしょうか。

 

そもそも老眼とは?

 

老眼とは、加齢によって手元にピントが合わなくなり、見えにくくなる現象のこと。多くの場合、40歳代頃から症状が現れ始めます。これは、ピントを合わせようとする力(調節力)が年齢とともに弱まるから。調節力は、目の中にある水晶体という器官と、その周りにある筋肉(毛様体筋)の弾力性で決まります。近くを見るとき、毛様体筋はギュッと縮んで水晶体を膨らませます。逆に遠くを見るときには、毛様体筋はリラックスしていて、水晶体は薄い状態。つまり、近くを見るときほど、水晶体のやわらかさや毛様体筋が収縮する力が必要になるため、加齢によってそれらが衰えてしまうと、近くのものが見えづらくなるのです

※参考:公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=36

調節力は、レンズの度数の単位「ディオプトリー(D)」で表され、10歳の時には12D(目から8〜9cmの距離でもはっきりと見える)あった調節力が、40歳頃には4D(目から25cm離さなければ見えづらい)にまで低下するといわれています。

 

「スマホ老眼」はなぜ起こる?

 

しかし近年、30代までの若い世代の間で「ピントが合いづらい」「ぼやけて見える」という老眼のような症状を訴える人が多くなりました。スマートフォンを長時間利用する世代であることから、スマートフォンが原因に大きく関わっている可能性が高いと考えられ、通常の老眼と区別して「スマホ老眼」と呼んでいます。それでは、なぜスマートフォンが老眼のような症状を招いてしまうのでしょうか? 

 

それは、スマートフォンを見る距離の近さが大いに関係しています。スマートフォンの画面を見る位置は、パソコンやテレビに比べてかなり目から近いことは明らかですが、本を読むときと比較しても約8cm近いというデータがあります。先述したように、近くを見るときは、毛様体筋がギュッと縮まり水晶体を膨らませます。この状態が続くと毛様体筋は凝り固まって動きが鈍くなり、調節力が働かなくなってピントが合わなくなるのです。

 

またスマートフォンは、紙と違って光を放っているため、画面を凝視することで光が水晶体にダメージを与えている可能性もあります。スマートフォンを見るときは瞬きの回数が半分程度に減ってしまうという研究結果もあり、目も乾燥しやすくなります。こういった要因が目に悪影響を与え、老眼のような症状を招いていると考えられます。

 

老眼と異なり「スマホ老眼」は改善する!

 

スマホ老眼と通常の老眼の大きな違いは、スマホ老眼は症状が改善する可能性があること。加齢で硬くなった水晶体や毛様体筋の弾力性は元には戻りませんが、目を酷使して一時的に機能が低下しているだけであれば、目を休ませることで回復します。

※参考:公益社団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/symptoms.html?catid=70

 

目の調節力は、眼科にある検査機器で調べることができ、「見えづらさ」の原因を様々な方向から探ることができます。スマホ老眼なのか? 老眼なのか? それとも違う原因なのか? 目につらい症状が現れたら、まずは眼科で検査を受けてみましょう。