2022-12-16

畑仕事から宇宙旅行まで GPSが開く新しい扉

目次

カーナビや地図アプリなど「探す、追跡する」サービスを支える位置情報システム、GPS。多くの人が利用しているものの「衛星からの電波をキャッチしている」こと以外あまり知らない技術でもあります。自動運転の車が行き交うスマートシティ化など、これからの世の中を大きく変えていくGPSについて、押さえておきたい基礎知識と、技術活用の今をご紹介します。

あれもこれも?! 暮らしのそばにGPS

 

携帯端末、PCやカメラなど「持ち歩くデジタル機器」にはGPSがほぼ標準で入っている現代。私たちの生活は、知らず知らずのうちにGPSと二人三脚で送っています。カーナビで知らない場所に車を走らせるとき、スマートフォン片手に位置情報アプリで遊んでいるとき、どのシーンも遠い衛星に導かれているのに、そうとは感じさせません。

 

「えっ、こんなところでGPSが!」と驚くことも増えています。外出先の人の位置をリアルタイムで把握し記録も残せるミニ発信機のGPSロガーやGPSトラッカーは、営業車の行動管理、子供の登下校の見守り、パートナーの信用調査などのニーズに使われています。

 

GPS内蔵タグやGPSマスコットは、バイクや自転車の盗難追跡や、行方不明になりやすいカギや小物に。スマートフォンの探索、紛失防止にも。認知症などで徘徊する方の居場所を把握するためにGPSチップを仕込んだ介護靴、練習ログが取れるGPSランニングシューズ、ペットの迷子防止のためのGPS首輪やマスコットも、潜在的課題をGPSが解決した商品です。

 

増えていく人工衛星 GPS開発の歴史

 

GPS はアメリカが運用する全地球測位システムで、Global Positioning Systemの略。衛星による測位システム=GNSS(Global Navigation Satellite System)の中で、日本国内では最もポピュラーなものです。GNSSはこれからの地球に不可欠なインフラであり、GPSをはじめ世界に6種あります。

今でこそスマートフォンや個人端末で誰もが使えるGPSですが、元はアメリカの軍事衛星技術で、1991年の湾岸戦争で実装展開されました。地球を周回する人工衛星からの電波を受信・解析することにより、発信点の地球での位置をはじき出すシステムで、的確な後方支援やミサイルの精度に世界が驚き、後にロシアがGLONASS、EUがGalileoを運用開始しました。

 

6か国が参入しているGNSS(衛星測位システム)

 

軍事技術から始まったGPSは、民生利用当初は船や飛行機、登山、測量などに使われ、やがてデジタル機器の発展とともにカーナビ、携帯端末、ノートパソコン、デジタルカメラ、レーダー探知機などへの利用が進みました。GPSを含むGNSSは、現在はアメリカ、ロシア、EUに加え、中国、インド、そして日本が運用しています。日本の上空には、準天頂衛星システム「みちびき」があります。

・GPS —アメリカ      ・Galileo —EU   ・GLONASS —ロシア

 

・Beidou(北斗)—中国    ・IRNSS—インド    ・みちびき—-日本

 

測量の概念を大きく変えたGPS

 

世界で最初のGNSSとなったGPS。日本では早くからカーナビを通じて身近な存在になり、今や小学生もスマートフォンの位置情報ゲームアプリで利用しています。一方で、私たちはGNSSの位置情報に関して、時折「あれっ?」というレベルのズレも経験します。その原因は、衛星の位置の誤差と、測定した距離の誤差。誤差といっても地上での誤差は数十メートル程度と大きくなってしまうため、ズレが許されない測量には当初GNSSを使えませんでした。

 

しかし、広域の測位精度を飛躍的にアップする技術が開発されて、現在ではGNSSによる測量がメインになっています。衛星からの電波を利用するGNSSは、従来の「角度」と「距離」による測量を超越した画期的な測位手法で、測量の効率化に大きく貢献しています。

 

【GNSSの3 つの要素】

・衛星群(宇宙システム):最重要要素。地上の測位点から遠く隔たっているが、測位の基準点の役割を果たす
・統括局(コントロールシステム):GNSS 衛星から射出される電波や衛星の軌道を管理するための施設
・利用者(ユーザーシステム):電波を受信・解析する観測者

 

なぜ位置が分かる? GNSSの2つの測定方法

 

人工衛星からの信号でどうやって位置を測るのでしょう。方法は大きく2つです。最もシンプルに、1地点に置いた受信機の位置を求める「単独即位」。誤差10〜20mの精度のため、船舶や飛行機のナビゲーションなどに向きます。

これに対し、さらに精度を高められるのが「相対測位」。2地点以上にある受信機によって相対的な位置を求める方法で、誤差は数m内と高精度化。主に測量などに用いられており、位置情報ゲームのコア技術にも取り入れられています。

 

GNSSを活用したトプコンのソリューション

中国、インド、日本のGNSS参入が完了し、地球は宇宙空間に100機以上もの衛星が巡るマルチGNSSの時代に入っていきます。そんな中でトプコンは、建設工事や農業においてGNSSを活用し、建設工事や農業の効率化・精度向上にチャレンジしています。

 

3次元マシンガイダンス/コントロールシステムで効率よく正確な施工

3D-MG GNSS ショベルシステム X-53x

マルチGNSS受信機を搭載し、3次元マシンガイダンスを可能にしたショベルシステム。ショベルの刃先の位置を正確に把握し、タブレット上でリアルタイムに設計データと比較しながら施工できます。杭打ちや出来形管理などの作業負担を軽減。施工に集中でき、工期通りの作業を可能にします。

 

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農機の自動操舵で農作業の精度を向上

GNSS自動操舵システム XD-AGS-2-SET

使い慣れた農業機械を自動操舵マシンに変えるGNSS自動操舵システム。あらかじめ設定したコースに沿って、初心者や女性でもハンドル操作なしで正確に農機を運転できるため、農作業の効率や精度の向上を図れます。

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