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ICT建機とは? 仕組みや種類をわかりやすく解説

目次

建設現場ではいま、作業の効率化や人手不足の解消を目的に「ICT建機」の導入が進んでいます。ICT建機とは、GNSS(全球測位衛星システム)やセンサー、3Dデータなどの情報通信技術を活用して、作業精度や安全性を高めた建設機械のことです。

本記事では、ICT建機の基本的な仕組みや種類(MC・MG)、トプコンが提供するICT建機システムについて、わかりやすく紹介します。

 

ICT建機の仕組み

ICT建機とは、情報通信技術(Information and Communication Technology)を活用した建設機械のことです。従来の建設機械にGNSS(GPSなど)、トータルステーションをはじめとする各種センサー、3次元設計データを活用し、高精度で効率的な作業を支援います。

従来の施工では、作業員が紙の図面を確認しながら、建築や土木・建設工事の前段階として、設計上の位置、高さ、水平、直角などの現場に示すための仮設の目印「丁張(ちょうはり)」が必要です。また、施工の基準には、建築物の配置、水平方向の高さ、壁や柱の位置といったものがあり、丁張をあらかじめ行っておくことで、工事に関わる作業者の間で構造物の大きさや形状のイメージを共有することができ、それを基準に作業を進めていました。

しかし現在のICT施工では、建設機械にGNSS(衛星測位システム)による位置情報を受信するアンテナや、センサーを装着させています。こうしたICT建機では建設機械の位置や姿勢をリアルタイムに把握することができます。これにより、経験が浅くても複雑な段取りを減らし、設計データに基づいた高精度な施工が可能になっています。

ICT建機の導入は、国土交通省が2016年4月に発表した「i-Construction(アイ・コンストラクション)」の取り組みによって広く普及しました。ドローンやICT建機の活用により、業務の効率化や作業のスピードアップを図り、建設現場の生産性の向上や省力化が進められています。

さらに2024年には、将来的な人口減少やインフラ老朽化への対応を見据えた、「i-Construction2.0」が策定されました。建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する施策です。これによって建設機械の自動化や遠隔操作、3Dデータの活用などを推進し、建設現場のさらなるデジタル化と生産性向上を目指しています。

 

i-Construction2.0では、人口が減少しても、社会インフラをしっかり整備・維持管理し、国土の安全を守り、経済活動を支える施設を持続的に提供するため、2040年度までに建設現場の省人化を3割達成(2023年比較で生産性を1.5倍に)することを目標にしています。こうした目標の実現に向けて、ICT建機は作業効率化や施工精度の向上、工期短縮に貢献し、建設業界が抱える人手不足や生産性向上の課題解決を支える重要な技術となっています。

 

ICT建機の種類―MC/MG

ICT建機は、大きく「MG(マシンガイダンス)」と「MC(マシンコントロール)」の2種類に分類されます。MGはモニター表示などによってオペレーターの施工を支援するシステムで、MCは建機の刃先や排土板の高さ・勾配を自動で制御するシステムです。

また、使用する測位技術によって「2D」と「3D」に分けられます。2Dは角度センサーや勾配センサー、レーザーなどを活用した主に平面的な施工向けのシステムで、3DはGNSSやトータルステーションを活用し、3次元の設計データに基づいた施工を可能にするシステムです。

MG(2D・3D)とMC(2D・3D)の詳しい特徴は以下の通りです。

MG(マシンガイダンス)

MGは、建機の現在位置と設計データとの位置関係をモニター上に表示することで、オペレーターの施工を支援するシステムです。いわばカーナビのように、3次元設計データをもとに、GNSS(全球測位衛星システム)やTS(自動追尾式トータルステーション)で位置情報を計測。建機の位置と設計データとのズレを、音声やモニター表示で知らせます。建機そのものを自動制御することはないため、操作はオペレーターの技術に委ねられますが、MCとは違い従来の建機に後付けすることもでき、安価に導入が可能です。

2D MG

2D MGの大きな特徴は、施工の目安となる情報をオペレーターに提供し、作業効率や施工精度の向上を支援するシステムです。角度・勾配センサーやレーザー受光機を用いて、作業機の高さや勾配を把握し、基準面とのとの差を確認しながら施工を行います。

運転席からは、現在のバケットやブレードの位置をリアルタイムで表示されるため、オペレーターは目視や経験だけに頼ることなく、ガイド情報を参考に効率的な作業が可能になります

3D MG

3D MGは、GNSSやトータルステーションを活用し、3D設計データをもとに施工するシステムです。リアルタイムで建機の位置情報を取得し、オペレーターはモニター上で確認できるため、オペレーターは現在位置と設計面との差を画面上で確認しながら作業を進めることができます。一方で、建機を自動制御する機能はなく、施工は、オペレーターの操作によって行われます。

MC(マシンコントロール)

MCは例えるなら、目的地まで半自動で走行してくれる車のようなものです。MGのガイダンス機能に加え、建機の動作そのものを自動制御するシステムです。GNSSやトータルステーションによる位置情報と設計データを照合しながら、機械が目標となる設計面に合わせて動作を制御します。建機によっては、バケットや排土板の高さ・勾配も自動制御し、オペレーターの操作を支援します。これにより、施工精度の向上や作業負荷の軽減が期待できます。

2D MC

2D MCは、2D MGに油圧制御システムを組み合わせたものです。オペレーターが手動で細かく操作しなくても、設定された高さや勾配に応じて建機が自動的に制御され、特に整地作業で威力を発揮。均一でムラのない仕上がりを実現できます。

3D MC

3D MCは、ICT建機の中で最も高度な自動制御機能を備えたシステムです。3D設計データを活用し、GNSSやトータルステーションによる位置情報をもとに、建機の刃先やブレードの高さ・勾配を自動制御します。3D MGと同様に、モニター上で設計データと現在位置を確認できますが、MCでは機械が設計面に合わせて動作を制御します。建機がオペレーターの操作をアシストしてくれるため、負担軽減と高精度な施工の両立が可能になります。

トプコンが提供するICT建機のこと

トプコンは、創業以来培ってきた位置計測の技術を軸に、1990年代から土木施工市場へ参入しました。オフィスと建設現場をIoTネットワークでつなぎ、測量・設計・施工・検査までのワークフローを、3Dデジタルデータで一元管理することで、建設作業の効率化に取り組んでいます。

現在は、3次元計測技術やセンシング・制御技術を活用したICT施工システムを提供しています。既存建機に後付け可能なICT装置により、MGやMCを活用した高精度な施工を実現し、建設現場の生産性向上や省力化を支援しています。

また、国土交通省では一定の基準を満たしたICT建設機械や後付け装置を認定する「ICT建設機械等認定制度」を運用しています。これはICT 施工の中小企業等への普及拡大を目的として、一定の機能を有する建設機械および後付け装置を、国土交通省が認定・公表し、ICT 技術の活用を支援するものです。施工業者の方々が安心してICT 建設機械等を選定・導入できるようになり、またその認定マークを明示することで、受発注者双方がICT 建設機械等であることを容易に理解することができるようになります。

トプコンの認定機械(後付けICT装置)のほか、認定を受けているICT建設機械等は、国土交通省のウェブサイトで、認定事業者、認定機械等の名称や型式の確認が可能です。

 

トプコンは、これからも技能者不足の解消と建設作業の生産性、品質の向上をさらに目指していきます。

 

 

参考文献

国土交通省「i-Construction」

国土交通省「生産性革命プロジェクト」

トプコン「事業を通じたサステナビリティ『住』」

トプコン「ICT建設機械等認定制度」