2023-05-23

舗装道路の下はどうなっている?

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国土交通省によると、日本の舗装道路の普及率は2020年で約82.5%(うち一般国道は99.5%)だそうです。アメリカやイギリス、フランスなどの先進国の舗装率は100%とされていますので、まだ日本は遅れをとっている状態です。しかし、1970年時点では一般道路の舗装率は約15%に過ぎませんでした。この50年間で急速に舗装工事が進んだことがうかがえます。

舗装道路といえば、一般的にアスファルトやコンクリートで覆われた道路を思い浮かべますが、その下(中部)はどうなっているのでしょうか? 舗装道路の役割や構造について探ります。

 

単に道路を覆うだけではない!舗装の役割とは?

舗装とは、路面の耐久性を増すために、道路の表面を他の材料で固めることです。「舗」の正字は「鋪」で、もともと「並べる」「敷く」「張りつける」といった意味があります。今から約30万年前のスペインの遺跡で、横一列に並んだ4本の象の大腿部の骨が見つかりました。荷物を「そり」などで運ぶとき、荷重で「そり」が地面に沈み込まないように、地面と「そり」の間に骨を並べていたと推測され、これが舗装の原点ではないかといわれています。つまり、骨を「並べて」地面を「装う」ことで、歩きやすくしたり、物を運びやすくしたりする機能を道路に持たせたのです。

 

その根本的な役割は現在も変わりません。舗装をしていない砂利道では、風が吹けば砂塵が舞い、雨が降るとぬかるむなどして、人や車が通りにくくなるだけでなく、事故につながる危険もあります。また、車がブレーキをかけた時に砂利が摩擦を小さくするベアリングの役目をして、ブレーキがききにくくなることも。路面を舗装することで、これらを防止し、歩行時や車両走行時の快適性や安全性を向上させることができるのです。


舗装は大きく分けて2種類ある

舗装の種類は、主に表面に使用する材料によって区別し、加熱アスファルト混合物を主原料にした「アスファルト舗装」と、コンクリートを主原料にした「コンクリート舗装」に大別されます。日本では、戦後しばらくの間はコンクリート舗装が主流でしたが、昭和35年からはアスファルト舗装の比率が高くなり、現在は90%以上がアスファルト舗装でできています。戦後、石油工業が発展し、アスファルトの生産が加速したこと、コンクリート舗装は養生時間が長いため工期が伸びること、補修が困難であることなどが、その理由にあげられます。しかし近年では、コンクリート舗装の耐久性の高さや、車両走行抵抗の低さ、夏場の表面温度上昇率の低さなどの利点が見直され、施工量が増加しつつあります。

 


舗装の下はどうなっている?

アスファルト舗装でもコンクリート舗装でも、私たちがその断面を見ることは滅多にありません。舗装の下はどうなっているのでしょうか。すぐ下に舗装前の砂利道があるように思うかもしれませんが、実は、舗装の下は何層にも分かれています。アスファルト舗装では、アスファルトの部分を表層、舗装前の地面を均した地盤を路床(ろしょう)といいます。その2層の間には、人工的に粒の大きさを調整した砕石でできた、強度の異なる上層路盤や下層路盤(上層>下層)があります。コンクリート舗装の場合も、コンクリートの下には、アスファルト混合物による中間層と路盤があります。このように何層にも分けることで、一体となって舗装上を走行する車両を支える「たわみ性」を有するのです。近年は、路盤の上に不透水層を設けて、雨水が下層に浸透するのを防ぎ、排水溝まで流す仕組みを備えた舗装など、高精度の舗装も登場しています。


トプコンの製品が高精度なアスファルト舗装に活躍

アスファルト舗装を行う際には、下層から順番に施工していきます。最初に行うのが最下層である路床の施工。ブルドーザー等の重機で均し、転圧機で締め固めを行います(転圧)。しっかり締め固めなければ、後に致命的な損傷につながる可能性もある大切な作業です。その後、下層路盤→上層路盤の順に材料を入れて、それぞれ締め固めます。最終段階の表層の施工では、アスファルトフィニッシャーという重機が活躍。アスファルト混合物を敷き均し、締め固めて完成です。

トプコンでは、既設のアスファルトを正確に削り取る切削機械や、アスファルトフィニッシャーに取り付けるマシンコントロールシステムを提供しています。トータルステーションやGNSSによる高精度な位置情報と、3次元設計データをもとに機器を自動制御。強度・安全性の高い舗装道路の施工に貢献しています。

切削機・フィニッシャーシステム