2024-04-10

虹の色を7色とするのは日本だけ!?

目次

太陽の光は何色?

太陽の光は何色でしょうか。子どもの頃のお絵描きでは、太陽を赤や橙で描くことが多かったかもしれませんが、実際の太陽光は白色です。この白色光は、赤、青、緑、紫などの複数の色が合わさってできています。光は波長を持ち、それぞれの色によって波長の長さが異なります。例えば、赤色は波長が長く、青や紫色は波長が短いことが分かっています。真空中では、光の速度は一定ですが、物質に当たると波長が短い色ほどより大きく屈折します。この屈折現象を利用して光を分光させられるのがプリズムです。多面体の各面で光が屈折することで、波長の異なる光の進む角度が微妙にずれるため、分光されてわたしたちの目にはそれぞれの色として捉えることができます。

 

最初に虹の色を7色としたのはニュートンだった!

1666年頃、イギリスの物理学者アイザック・ニュートンは、太陽光をプリズムに通すと赤から紫色まで、連続して変化する光の色の帯が現れる現象を観察しました。彼は、この光の帯をスペクトルと名付け、「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の7色に分類し、虹の色が太陽光に由来することを明らかにしました。それまで光の帯は「赤・黄・緑・青・紫」の5色と捉えられることが一般的でしたが、ニュートンの研究により細かな分離がなされました。彼が7色に分類した理由については、当時「7」が神聖な数字であり、また音楽のスケール(音階)との類似性を指摘する説がありますが、この解釈は一つの見方に過ぎません。ニュートンのこの発見は、その後の光に関する研究に大きな影響を与えました。

虹の色数は各国によって異なる!

日本で虹が7色とされるのは、明治以降の学校教育を通じて普及したニュートンの7色説に基づくものと考えられています。例えば、江戸時代に描かれた浮世絵では、虹が3色程度で表現されている作品が多く見られ、当時は7色すべてを認識していたとは考えにくいものでした。虹の色を7色とするのは、教育による先入観の影響が大きく、実際に全ての色を区別できる人は少ないかもしれません。世界的に見ても、虹の色を7色とするのは一部の国に限られています。例えば、アメリカでは青と藍をひとつの色として6色、ドイツではさらに紫も青色に含めて5色とすることが一般的だとされています。

虹ができるのは、雨粒がプリズムの役割をしているから

虹の色数に諸説があるのは、太陽の光が分光されて美しいグラデーションを描いており、その境目が見分けにくいからともいえます。虹がかかるのは、雨上がりが一般的で、太陽を背にした反対側の空に浮かび上がります。雨が降ったあとの空には、たくさんの小さな水滴が浮かんでいるため、この一つひとつの水滴がプリズムと同じような働きをして虹をつくるのです。太陽光はプリズムを通過するときと同じように、水滴を通過するときに屈折して分散されます。このとき、波長によって赤や紫に至るまでの色が、それぞれ異なる角度で屈折されるため、結果としてスペクトルのように色が分離され、天空に虹が描かれるのです。雨粒のサイズや太陽の位置、観察者の位置によって、虹の見え方が変わるため、虹は常に変化する自然のアートのようなものです。

 

虹の色の数や認識の仕方は、文化や教育によって異なるかもしれませんが、その基本的な形成過程は普遍的です。ニュートンが示したように、光の分散と屈折の原理は科学的な探究の対象としてだけでなく、私たちが自然界の美しさを理解するための鍵となります。雨粒が天然のプリズムとなり、私たちに色彩の豊かな世界を見せてくれるのです。

 

(参考文献)
・「よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]」(秀和システム)
・「おとなの楽習 理科のおさらい 物理」(自由国民社)
・「色の不思議が面白いほどわかる本 なぜ人は色に左右されるのか」(KAWADE夢文庫)

(参考WEBサイト)
気象庁「よくある質問集 雲・大気現象・大気光象について」
HUFFPOST「虹は7色とは限らないって知ってた? 国によって数が違うという衝撃の事実」