2023-01-25

【トプコンの歴史③】なぜ、トプコンはソリューション提案企業へ転換できたのか?

目次

「医・食・住」の社会的課題をDXソリューションで解決するトプコン。

1932年、精密光学機器メーカーとして誕生したトプコンは、90年の歴史の中でハードウェア(モノ)だけでなくソリューション(コト)によって社会的課題を解決するソリューション提案企業へと転換しました。

今回は、トプコンがソリューション提案企業となるきっかけとなった、ターニングポイントのお話です。

トプコンの歴史①創業期「なぜ、トプコンのはじまりは光学機器だったのか?」

トプコンの歴史②1970年~「なぜ、トプコンは早くからグローバル市場を開拓できたのか?」

 

海外技術ベンチャー企業の買収

1992(平成4)年、創立60周年を迎えたトプコンは、新規市場へのニーズにマッチした新製品の開発・販売を模索していました。

 

測量機器事業においては、回転しながら水平方向にレーザー光を照射する回転レーザーを開発。建設工事における「水平出し」という作業を効率化できるメリットを生かして、土木建設という大きな市場への参入を目指していました。現在、Topcon Positioning Systems代表取締役社長を務めるレイモンド・オコーナーがトプコンに入社したのもこの時でした。

回転レーザー

そんな中、1994(平成6)年には、将来建設機械がロボットのように動くことを目指すベンチャー企業「AGTEK社(アメリカ・カリフォルニア州)」を買収。その後2000(平成12)年には、精密GNSS(全球測位衛星システム)計測技術を持つ技術ベンチャー企業「JPS社(アメリカ・カリフォルニア州)」を買収しました。これら建設機械の自動化技術と精密GNSS計測技術の買収が、「住(建設)」の事業分野において建設工事の効率化を図る「建設工事の工場化」へのターニングポイントとなりました。

1998年に開発された、建設機械の操作を自動化するマシンコントロールシステム

「食(農業)」の事業分野では、2006(平成18)年に、精密農業のパイオニアであるオーストラリアの「KEE Technologics Pty Ltd.」を買収。同社は、GNSSからの測位情報をもとに農業用トラクターの位置を制御したり、作業機を管理したりするシステムを開発・販売していました。KEE社の技術とノウハウを獲得したことで、既存の建設分野に加え、農業分野への参入を果たすことができました。その後、ドイツ、アメリカ、カナダの先進技術を持つIT農業関連企業を相次いで買収し、「農業の工場化」の実現を推進しています。

 

「医」のデジタル化の先駆けに

眼科医療機器分野でも、画期的製品を次々と世に送り出しました。1988(昭和63)年には、眼科診断の画像管理システムであるIMAGEnetを発売し、眼科業界で世界に先駆けて診断カルテの電子化に取り組みました。

 

1987(昭和62)年には、世界初のモニター付き非接触眼圧計、また1990(平成2)年には、世界初の赤外線蛍光造影を可能とする眼底カメラTRC-50IAを発売。さらに1993(平成5)年には世界初の電子映像で角膜内皮細胞数測定ができるSP-1000を発売し、眼科医が白内障手術前に角膜内皮細胞数をチェックする手法を世界に普及させ、眼科医療業界に貢献しました。

3D OCT-1 Maestro(販売名:3次元眼底像撮影装置 3D OCT-1、認証番号:224AABZX00151000)

アイケア事業の「眼健診(スクリーニング)」事業進出の転機となったのが、2013(平成25)年にリリースした、タッチパネル操作で撮影できる世界初のフルオートOCT3次元眼底像撮影装置「3D OCT-1 Maestro(販売名:3次元眼底像撮影装置 3D OCT-1、認証番号:224AABZX00151000)」です。トプコンは2006年に世界初のOCT(光断層干渉撮影)と眼底カメラを融合した3次元眼底像撮影装置を発売。以降、OCT技術による眼科医療の進歩に貢献してきました。

 

1990年からの20年は、現在の「医・食・住」分野でのソリューション提案企業への原型をつくった時代。それまでのモノを売る企業から、ソリューション提案企業への転換を促すきっかけになったのが、1994年のAGTEK社買収だったのです。

 

なぜ、トプコンはソリューション提案企業に転換できたのか?

―1994年、海外技術ベンチャー企業との出会いがターニングポイントとなったから

 

~つづく~

次回:なぜ、トプコンではダイバーシティが進んだのか?

https://www.topcon.co.jp/media/others/whytopcon2011/

 

トプコンの歴史については、こちらもご覧ください。

https://www.topcon.co.jp/about/history/