フルフィールドOCT開発

2台のカメラを用いてリアルタイムに測定
2006.11.22
  1. 概要
    OCT(Optical Coherence Tomography)は生体を侵襲することなく、光干渉技術を用いて組織の断層画像を測定する新しい画像診断技術です。OCTは既にさまざまな応用研究が進められております。今回、2ミクロンの高解像度でしかもリアルタイムに眼の組織を画像化できる全く新しいフルフィールドOCTを諸研究機関とともに開発し、その製品化に向けた成果が得られましたことをここに発表致します。
  2. フルフィールドOCTの特徴
    フルフィールド(全視野)OCTは、2次元センサーアレイを用い、干渉画像データから2次元断層画像を計測できる技術です。現行のOCT装置では縦・横方向の分解能が10ミクロン、深さ方向が5ミクロン程度であるのに対し、フルフィールドOCTは縦・横・軸上の3方向の全てにおいて2ミクロンの解像度をもち、細胞レベルの断層画像測定が可能です。
    今回開発したフルフィールドOCTは2台のCCDカメラを用い、さらに偏光光学素子と組み合わせることにより、30断層画像/秒の測定を可能としております。この高速性により、動く物体の測定が可能であり、生体組織の測定にも利用できます。
  3. フルフィールドOCTの潜在性
    縦・横・軸上の3方向の全てにおいて、2ミクロンの解像度を実現したOCTが商品化されれば、緑内障・加齢黄斑変性に代表される失明に至る重篤な眼疾患を早期に発見、治療が飛躍的に進歩する可能性があり且つ、今回の動物実験でも明らかになった角膜の疾患への応用も期待されております。現在、世界最先端の3次元断層撮影装置においても、この横方向・軸方向ともに2ミクロンの解像を実現することは容易ではありません。当社が既に上市した、フーリエドメインOCT 「3D OCT-1000」に加えて、このフルフィールドOCTを持つことにより、現在考えられるOCTの主要な疾患への診断対応をより強固にできると考えます。
  4. 研究・開発母体
    フルフィールドOCT開発は、トプコンと財団法人山形県産業技術振興機構との産官連携によるものであることに加えて、New Energy and Industrial Technology Development Organization(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合機構:通称NEDO)、「分子イメージング機器研究開発プロジェクト/生活習慣病超早期診断眼底イメージング機器研究開発プロジェクト」での研究成果であります。
    本技術研究成果は本年11月10日「Optics & Photonics Japan 2006」にて山形県産業技術振興機構 秋葉正博博士により発表されました。また、11月29日に山形県産業技術振興機構の研究成果発表会にて、同機構 陳建培博士、秋葉正博博士らにより報告される予定であります。
  5. 今後に向けて
    トプコンではこの研究成果を産官学協同で幅広い分野の学会に研究成果発表活動を続けてまいります。今回の成果が製品化に向けた大きな第1歩として、このまったく新しい分野を切り開く検査方法の確立を目指し、フルフィールドOCTの実用化に向けた活動を展開してまいります。

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