スキャンスピード10倍を実現した3DレーザースキャナーGLS-1500を国内で発売開始
測量・土木・計測分野の3次元面形状計測に最適な3Dレーザースキャナー株式会社トプコン(本社:東京都板橋区、取締役社長:横倉 隆)は、測量・土木・計測分野向けに当社従来機比10倍のスキャンスピードとノイズの少ない高密度計測を実現するスタンドアローンタイプの3DレーザースキャナーGLS-1500の国内販売を4月より開始いたしますのでお知らせします。
3Dレーザースキャナーは、計測対象物の3次元面形状を高密度の3次元点群としてデータ収集する計測装置です。
新製品のGLS-1500は、精度を損なうことなくスキャナーが照射するパルスレーザー光の周波数(1秒当たりの発光回数)を従来の3,000点/秒から10倍の30,000点/秒に向上させ、スキャニング計測時間の大幅な短縮を実現しました。さらに、トプコン独自のプリサイススキャン技術*1により、収集データはノイズとばらつきの少ないクリアなデータで対象物の質感までも表現できます。また、レーザー光の発光回数が10倍に増加したにもかかわらず従来と変わらぬ消費電力を維持する高周波パルスレーザー光源の低消費電力設計にも成功し、電源消費を気遣うことなく作業に集中できます。
操作性においては、デジタルカメラ、視準機能、キーボード&ディスプレイ、メモリ、バッテリー、無線LANなどの機能を全て本体に搭載した使いやすいスタンドアローンタイプでの優れた操作性を継承するとともに、機動力も高めています。このほか本体内蔵の2メガピクセルのデジタルカメラの画像を見ながら、無線LANを利用し、遠隔からPCで本体を制御したり、計測した点群データにデジタルカメラで撮影した計測対象物画像を反映し、カラー3D点群データとして色や形状までリアルに再現できます。
GLS-1500は路面形状計測、ボリューム計測、構造物調査、災害調査、事故調査、河川・ダム・堤防計測、トンネル計測、建築物の現況図面作成、遺跡・文化財調査等、幅広い分野での利用が見込まれ、更なる生産性の向上に貢献いたします。


【開発の背景】
測量・土木・計測分野における3次元面形状の計測においては、測量・土木向けのGNSS受信機*2やトータルステーション*3が多く使用されています。しかしながら、これらの機器で計測する場合、計測したい点の3次元位置座標は収集できますが、複雑な面形状の計測では多くの時間を要するため、代表的な変化点のみを計測し面形状を表現しています。一方、3Dレーザースキャナーを利用すると、同様の対象物や広いエリアの面形状でも短時間で計測でき、しかも高密度な3次元点群データが収集できます。
当社では、国産初の3DレーザースキャナーGLS-1000を開発し販売してきましたが、よりスピーディーに、より高精度にという要望がマーケットから多く寄せられ次世代機の開発に着手いたしました。
当社では、得られるデータのノイズを低減できる独自のプリサイススキャン技術を有しており、これにより、高精度なデータはスキャニング後のクリーニング作業を大幅に低減させることを実現していましたが、次世代機には、取得できるデータの精度はそのままに、スキャンスピードを従来比10倍の30,000点/秒とすることで現場の作業効率を大幅に向上させることを目指しました。これらの機能に加え、操作性の良いスタンドアローン設計により、現場作業から内業作業までトータルで効率化できる製品作りを目指しました。
【特長】
- 高速スキャニング 30,000点/秒
- 独自のプリサイススキャン技術による低ノイズデータ
- 信頼の高精度 4mm@150m
- 機動力の高いスタンドアローン設計
- 計測範囲を素早く視準するジョグ機能搭載
- デジタルカメラ内蔵
- 大量の点群をパワフルに処理 ”ScanMaster”ソフトウェア
- 内蔵無線LANによる遠隔コントロール
【主な仕様】
測距方式 | パルス方式(Time of Flight) |
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測定距離 | 反射強度90%:330m / 反射強度18%:150m |
距離精度 | 4mm(σ)/ 1〜150m |
角度精度 | 6″ |
スキャンスピード | 30,000点/秒 |
レーザークラス | クラス1(JIS C6802) |
カメラ画素数 | 2メガピクセル |
角度補正 | 2軸自動補正 ±6′ |
インターフェイス | SD/SDHCメモリカードスロット、無線LAN、USBポート |
バッテリー作動時間 | 4時間/4個(連続使用) |
動作温度範囲 | 0℃〜+40℃ |
耐環境性 | IP52(JIS C0920) |
【その他】
発売:2010年4月
国内標準価格:12,600,000円(消費税含む)
【用語解説】
*1:プリサイススキャン技術
トプコン独自のスキャンデータの低ノイズ化技術。
*2:GNSS受信機
測位衛星(米国のGPS衛星、ロシアのGLONASS衛星)からの信号を受信し座標情報を取得する装置。
*3:トータルステーション
レーザー光や近赤外光を利用し対象物との距離や水平・垂直方向の角度を計測し、座標の計算や記録が行える電子式測量機。