3D移動体計測システム”IP-S2シリーズ”を国内およびアジア地域で発売を開始

3次元計測装置により、走行路線周辺の3次元形状を取得。
2009.10.01

株式会社トプコン(本社:東京都板橋区、取締役社長:横倉 隆)は3D移動体計測システム”IP-S2シリーズ”を国内およびアジア地域で10月1日より発売いたしますのでお知らせします。
IP-S2はスキャナー及び画像による高精度な実測データをベースとするモバイルサーベイシステム(MSS)として、IP-S2 Liteは画像のみによる簡便な計測を可能とするモバイルマッピング(MMS)として3D移動体計測のポートフォリオを形成します。

IP-S2は計測車両に高精度GNSS(GPS+GLONASS)*1、IMU(慣性計測装置)*2、レーザースキャナー*3、ホイールエンコーダー*4、360°全周カメラ等のセンサーを搭載した新開発のポジショニングシステムです。この画期的なシステムは走行するだけで、走行路線の正確な位置データおよび姿勢データ、走行路線周辺の連続画像と3次元形状をカラー3次元点群データとして取得できます。また、IP-S2 Liteは計測車両に360°全周カメラ、GPS/汎用型IMU(汎用タイプのIMUを搭載したGPS受信機)の最小限のセンサーだけで走行路線周辺の360°動画を取得できます。
現在、私たちの社会生活にはデジタル地図や地図データベースで情報を管理するGIS(地理情報システム)*5が欠かせないものとなり、その活用は急速に広がっています。今後、益々需要が高まると予想されるデジタル地図やGISの3次元のベースマップ*6の作成には大量の3次元データが必要であり、またそのデータ更新作業にも同様の手間が掛かるため、3次元データを低コストで供給するための手段が求められています。従来、このようなデータの取得には、様々な計測作業や撮影を組み合わせて実施していたため、多大な労力と時間、および多額の費用が必要でした。しかし、IP-S2シリーズはスピーディーに広範囲を一括して計測できます。取得した画像データや3次元点群データにより、道路周辺のさまざまな対象物の把握、特定、抽出を容易に行うこともでき、高効率かつ低コストでの3次元空間データの取得を実現しました。

デジタルデータによる基盤地図情報の整備が進むなか、同様にデータ化された都市計画図、土地利用図から防災、治安、交通安全、環境保全、さらにはサービスコンテンツ等にいたるまで、これらの情報を組み合わせて利用する地理空間情報は、日常生活や社会の発展に欠かすことのできない情報となって急速に拡大していています。日本においては平成19年8月に地理空間情報活用推進基本法が施行され地理空間情報の整備・活用・普及についての取組みが行われています。トプコンはフィールドの計測作業に革命をもたらすIP-S2シリーズの提供を通じて、地理空間情報の発展の一翼を担ってゆきます。

開発の背景
GIS市場における道路のデジタルマッピング(例えばカーナビゲーションシステム)においては、データ制作には多大な時間とコストを費やしています。また、カーナビゲーションシステムに関わらず、道路を中心としたマッピングにおいては、位置情報や空間データ(地物・構造物等)を3次元デジタルデータとして重ね合わせることで、多彩な用途が広がる一方、データの鮮度も重要な課題となっております。IP-S2シリーズによるデータ取得は、これまでにない利便性や新しいムーブメントを社会や日常生活に提供できる可能性があります。3次元データを広範囲に、より多くのデータを、より素早く正確に取得する方法があれば、地理空間情報の構築はこれまで以上にスムーズに進み発展して行くとトプコンは考えました。
また、トプコンではこうしたシステムをシリーズ化することによりお客様のニーズに合った製品をご提供いたします。

IP-S2の特長

  • 空間位置情報が車を走行するだけで取得できます。
    IP-S2を搭載した車で走行するだけで、道路に面した周囲20〜30m範囲の正確な位置情報や空間位置情報の点群データ取得ができます。併せて、360°全周カメラでの高解像なデジタル画像撮影も位置情報と同期して取得できます。 
  • 確実な計測を実現するシステムです。
    位置データ取得に際しては、GNSS受信機とともに慣性計測装(IMU)、ホイールエンコーダーを装備しており、トンネルや橋の下、ビルが立ち並ぶ都心等GNSS衛星の受信に支障をきたすエリアでも計測が可能です。
  • 計測データは様々に活用できます。
    計測したデータからカラー3次元点群データを素早く生成できます。地物の確認、位置や寸法、形状の計測また、トレースによる作図、3次元モデリング等、様々に活用できます。
  • 容易に着脱可能なセンサー。操作も簡便です。
    センサー類をキューブユニットとして一体化することにより、容易に着脱が可能となりました。データ取得もノートPC 1台という非常にシンプルな装備でどなたでも観測可能な容易な操作性を実現しています。
  • トータルコストを削減できます。
    従来の計測作業や撮影作業によるデータ収集方式に比べ、現場作業の革命的な時間の短縮とそれにともなうコスト削減を実現します。

IP-S2 Liteの特長

  • CV技術により、走行路線の3次元空間を再現します。
    最先端の画像処理技術”Camera Vector Technology”(CV技術)により、1フレーム毎のカメラ位置と姿勢を算出。ビデオ画像の3次元化を実現できます。
  • 画像上で計測が可能です。
    CV技術によって生成された360°動画は3次元位置情報を持っているので、画像上で直接に対象物の位置や寸法、角度などを計測できます。
  • 現実空間とバーチャル空間がシームレスに連動します。
    ESRI社製GISソフトArcGISにアドオンで接続できます。データベースを共有化することで現実空間とバーチャル空間がシームレスに切替わり、リアルな画像上での作業を可能としました。
  • 容易に着脱可能なセンサー。操作も簡便です。 
    最小限のセンサー類は容易に着脱が可能です。データ取得もノートPC1台という非常にシンプルな装備でどなたでも観測可能な容易な操作性を実現しています。
  • トータルコストを削減できます。
    従来の計測作業や撮影作業によるデータ収集方式やその後のデータ処理作業に比べ、ほぼ自動化され大幅な作業時間の短縮とそれにともなうコスト削減を実現します。

活用例

  • 大縮尺の地図情報およびGISの基盤図作成
  • 道路指示地物の位置および属性管理
  • 道路断面図作成
  • 道路隣接構造物の計測・調査
  • トンネル内空調査
  • 急傾斜地の法面調査

その他

販売製品名モバイルサーベイシステム IP-S2
モバイルマッピングシステム IP-S2 Lite
発売IP-S2    2009年10月1日
IP-S2 Lite  2009年10月末
販売地域日本国内およびアジア地域
標準価格オープン

用語解説
*1:GNSS
測位衛星により地球上で自分の位置を決定することのできるシステムの総称。
米国のGPS衛星およびロシアのGLONASS衛星の信号を同時に受信可能な受信機
*2:IMU(慣性計測装置)
物体の運動を表現する為の3軸の角度または角速度および加速度を検出する装置。
*3:レーザースキャナー
レーザー光を利用して非接触で測定対象物の座標を計測できる測距儀を走査することにより3次元形状を点群(測点座標の集合体)として取得する装置。
*4:ホイールエンコーダー
自動車のホイールに取付け、タイヤの回転速度を計測する装置。
*5:GIS(地理情報システム)
地図データをベースとして属性情報を管理する地理情報システム。
*6:ベースマップ
目的別の空間データを乗せて主題図を作成するための土台となる地図。

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