近赤外線を用いたインフラ構造物の非破壊・非接触塩害調査システム

コンクリート劣化診断システムの実用化
2016.07.04

【概要】
株式会社トプコン(所在地:東京都板橋区、代表取締役社長:平野 聡、以下、トプコン)と前田建設工業株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:前田操治、以下、前田建設)は、インフラ構造物の塩害劣化の調査のために用いるコンクリート表面塩分量の非破壊・非接触の検査システム「コンクリート劣化診断システム」を開発いたしました。

コンクリートの塩害劣化を調査する場合、コア抜きによる試料採取後、塩化物イオン量の測定を行うのが一般的です。しかし、この方法では構造物にダメージを与えてしまうこと、分析には多大な時間と費用を要することから、例えば橋梁の場合、調査箇所は通常、1橋梁あたり数箇所程度のサンプリング調査を行っていました。これでは調査データの妥当性が確保できず、診断が正しく行えない可能性があります。
このような背景から、前田建設とトプコンは2014年からコンクリート表面の塩分量を非破壊・非接触で測定する装置および検査システムの共同研究を開始し、この度、実用化いたしました。

【詳細】
本システムは、コンクリート表面からの反射光のうち、近赤外領域の分光スペクトルから表面塩分量を推定するシステムです。非接触で測定が可能で、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートだけでなく、高炉B種セメントやフライアッシュB種セメントを用いたコンクリートでも計測が可能です。
本システムを用いることにより、簡易に広範囲のコンクリート表面塩分量のマッピングを行うことができ、目視や打音検査などでは分らない、塩分量の多い個所、すなわち、潜在的に塩害劣化の危険性が高い個所を知ることができます。従来は、コア抜きにより計測していた塩分濃度の計測が非破壊・非接触で計測できることで、これまでは難しかった塩害調査箇所のスクリーニングを効率的に行うことができるようになり、インフラ構造物の長寿命化を図ることが期待できます。

実現場における測定状況例
コンクリート表面塩分量のマッピングの例

【測定装置構成】

【今後の展開について】
今後、開発したシステムの現場適用性の向上と推定精度の向上を図るとともに、インフラ維持管理分野における事業へのサービス展開を図っていく予定です。
なお、本システムは、7月6日~8日に福岡で開催されるコンクリート工学年次大会2016のテクノプラザ にて展示を行う予定です。

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