オートレベルの新製品 “AT-Bシリーズ” 発売
ロングセラーのAT-Gシリーズをフルモデルチェンジ株式会社トプコン(本社:東京都板橋区、取締役社長:横倉 隆)は、オートレベルの新製品”AT-Bシリーズ”2機種を、日本を含むアジア地域で発売いたします。
オートレベルは、測量、土木、建築、内装工事など、広範な分野で利用される光学測量機です。土地の標高を求める水準測量から内装工事の水平出しまで、要求精度や価格帯に応じた数多くの製品が販売されています。
トプコンは、1990年の発売以来20年間ご好評をいただいてきた”AT-Gシリーズ”をフルモデルチェンジしました。新製品の”AT-Bシリーズ”は、高品質と使い勝手を追求したオートレベルです。従来1mまたは50cmだった最短合焦距離を、望遠鏡先端から20cmに短縮。目の前の壁や柱にピントを合わせることが可能となり、内装工事や狭い路地等での作業効率を高めます。自動的に望遠鏡視準線*1を水平に保つコンペンセーター(自動補正機構)の制動機構*2には、マグネットダンパー方式を採用。素早く高精度に水平を出し、かつ微震動に揺るがない安定性を両立しました。また水平角測定用の目盛盤にカバーを追加し、紫外線や砂・土などによる目盛の劣化を防止します。望遠鏡接眼レンズ直下に配置した窓により、最小の視線移動で角度を読み取ることができます。
モデルチェンジに伴い、従来の最上位機種AT-G1の後継機は廃止しました。高精度な水準測量が、より効率の高い電子式デジタルレベルDL-500シリーズに置き換わったことを受け、ラインアップの合理化を行いました。なお、最短合焦距離0mが好評の”AT-M3”は、従来通り販売を継続します。これによりトプコンのオートレベルは、AT-B2・AT-B3・AT-M3 の3機種となります。
【開発の背景】
トプコンは1961年の初代”AT型オートレベル”発売以来、半世紀にわたりオートレベルのパイオニアとして市場をリードしてきました。
今回のフルモデルチェンジにおいては、従来以上の品質を確保し、使い勝手を更に向上させることで、新たなスタンダードとなるオートレベルを目指しました。
【特長】
- 最短合焦距離 20cm
- 高い精度・信頼性・安定性を実現するマグネットダンパー方式のコンペンセーター
- 1km往復標準偏差0.7mm / 1.5mm の2機種
- 強雨に耐える防水性能 IPx6
【主な仕様】
機種名 | AT-B2 | AT-B3 |
---|---|---|
倍率 | 32X | 28X |
対物有効径 | 42mm | 36mm |
分解能力 | 3″ | 3.5″ |
最短合焦距離(望遠鏡先端より) | 0.2m | 0.2m |
精度(1km往復標準偏差、JIS B7912-2:2006) オプチカルマイクロメーター(オプション)使用時 | 0.7mm 0.5mm | 1.5mm – |
コンペンセーター 制動方式 補正範囲 | マグネットダンパー ±15’ | |
円形気泡管感度 | 10’ / 2mm | |
寸法 | 215(D)×130(W)×140(H) mm | |
質量 | 1.85kg | 1.7kg |
使用温度範囲 | -20℃〜50℃ | |
耐環境性 | IPX6(JIS C0920:2003) |
【その他】
発売:2010年5月
国内標準価格:オープン価格
【用語解説】
*1:望遠鏡視準線
望遠鏡を通して見通すライン。視準線が水平であることを基準として高さや比高を測定します。
*2:制動機構
オートレベルのコンペンセーターには、一般に光学部品を吊り下げた振り子が使われます。振り子は制動機構がなければいつまでも揺れ続け、レベルの視準線が安定しないため測定ができません。良い制動機構の条件は、1)振り子の動きを素早く止める、2)正しい位置で止める、3)細かい振動に対して過敏でない、4)温度変化など周囲環境の影響を受けにくい、など。代表的な方式として、磁力を利用したマグネットダンパー式(磁気制動方式)と、シリンダーとピストンを組み合わせたエアーダンパー式(空気制動方式)があります。