財務戦略

取締役
専務執行役員
財務本部長
特需ビジネス推進部長
秋山 治彦
中期経営計画2025
2023年度よりスタートした「中期経営計画2025」では、「持続成長する100年ベンチャーに挑む」を基本方針として、創立100周年に向けた第1ステップとなる3年間の計画として位置づけています。本計画では、「顧客志向の深化」「基盤改革」「DX加速」の3本柱の基本戦略のもと、経営課題に取り組み、各事業での成長戦略を展開しております。
成長投資
2024年度におきましては、M&A投資については、アイケア事業において複数の新興企業にマイノリティ出資をするなど、戦略的投資を行いました。設備投資については、生産体制の整備、成長戦略推進、経営効率改善等に必要な投資を行いました。開発投資については、DXソリューションの拡大、新製品開発や次世代技術開発等の新規事業領域に参入するための開発投資を引き続き積極的に行いました。これらの投資活動の財源としては、営業活動によるキャッシュ・フローで生成された資金を主とし、銀行借入等の資金調達で補うことにより賄いました。今後も成長分野におけるシェア拡大のために、新技術・新事業領域等への投資を継続してまいります。
資本コストとROE
中期経営計画2025では重要指標としてROEを掲げ、資本コストを意識し、収益性のみならず、資本効率や最適な資本構成を重視しながら経営の強化を図っております。
2024年度においては、アイケア事業は堅調な販売が持続したものの、ポジショニング事業において投資抑制の影響を受け、売上が世界的に減速したこと等に加え、構造改革関連費用を含む一過性の損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益が減少し、重要指標であるROEは0.4%となりました。
成長戦略
当社は現在、ポジショニング事業・アイケア事業とも、大胆な成長投資を加速すべき重要な局面に差し掛かっていると考えております。このような従来の事業施策を超える取り組みの加速においては、欧米を中心とした不透明な景況や地政学的リスク等の影響を受け先行き不安定な経営環境が続く見通しのなかにおいても、継続的・長期的な投資が必要となることに加え、特に新たなビジネスを創造するうえでは、事業遂行上の不確定リスクも存在いたします。これは、長期的に見れば当社の企業価値向上が期待できるものの、短期的には当社グループの収益およびキャッシュ・ フローに負の影響を与える可能性があり、こうした施策を当社が上場を維持したまま実行すれば、短期的には資本市場から十分な評価が得られず、当社の現在の株主に不利益を与える可能性を否定できません。
そのため当社は、公正なプロセスを経て、多様な選択肢を慎重に評価した結果、長期的な成長を目指し、MBOにより経営を継続しつつ、KKRとJICCとの戦略的パートナーシップによる非上場化を進めることが最良と判断しました。これにより、株主と経営陣が一体となった安定した経営体制を築き、経営課題に機動的かつ柔軟に対応できる体制を整えます。今後は、長期的視野で積極投資を推し進め、グローバルでの競争力に磨きをかけることで、事業体制の強化を目指してまいります。